〜地産地消が進む医療機器関連と板金業界〜

医療機器の板金フレーム・筐体を加工
安全・安心に対応するBCPに取り組む

森精工株式会社



堅調に推移する医療機器業界
森 俊幸社長森 俊幸社長
山田和幸部長山田和幸部長
「当社で受注する医療機器はここ2年くらいはやや右肩上がりで推移しています。しかし、それ以外の事務機器・音響機器・金融関係などが大きく落ち込み、今でも回復していません。結果的に、全体の売上に占める医療機器の割合が突出してしまった」とリーマンショック後の現状を語り始めた森社長。
同社が製造するのは医療機器の中でも人工透析機器の筐体フレーム、その他、計測機器、電子機器、事務機器などの板金筐体・精密板金加工を手がける。現在では人工透析機器の関連が売上比率50%くらいから70%程度にまで増加した。
「医療機器に支えられて、2009年度の売上はピークの2007年度比85%程度まで回復しました。世界的に見て医療機器は成長産業ですし、これからも大きく落ち込むことはないでしょう。しかし、誰もがそういう目で見ていますから、世界的にはグローバル競争が激化し、国内では大手の医療部門強化や他業種の中小サプライヤーの新規参入が目立つようになり、競争はもっと激しくなって来るでしょう」現状と競争の激化が予測される医療機器産業について語る。

人工透析機器関連で繁忙感
SheetWorksで作成した人工透析機器のモデルSheetWorksで作成した人工透析機器のモデル
医療機器は他業種と異なり試作から量産モデルを完成し、厚生労働省の認可を得るまでに1〜2年、認可を得てから本格的な量産に入るまでにさらに1年ほどかかり、立ち上がるまでに3年以上かかる例もある。そして量産に入ると、途中でマイナーチェンジに伴う設計変更はあるものの同型機が5〜6年は流れる。製品寿命は5〜10年、筐体の素材が鉄からステンレスへと切り替わったことで耐蝕性が高まり、電子部品や基盤のサイクルで製品寿命が決まるようになっている。

ステンレスの加工技術で新興国に対抗
BRICsを中心に、中南米・東南アジア・アフリカなどの新興国で医療機器の需要が大きく伸びるのは必至。他業種と比べれば固有技術が保たれている医療機器といえども、主戦場を新興国に移し、グローバル競争が激化することでシフトグローバルへの対応が迫られている。...

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