〜地産地消が進む医療機器関連の板金業界〜

医療機器の国内生産額は1.7兆円
板金市場は最大160億円



“医療崩壊”の危機に直面する日本、医療費は年間34兆円
グラフ1  医療機器の生産金額推移/「薬事工業生産動態統計年報」(平成20年)よりグラフ1  医療機器の生産金額推移/「薬事工業生産動態統計年報」(平成20年)より
平均寿命が世界一と言われる日本だが、健康長寿を支える医療が今、崩壊の危機にある。その主な原因は、高齢化による医療費の増大、これまで医療費の支払いを支えてきた「国民皆保険制度」が抱える診療報酬の抑制による医療従事者への負担といった様々な問題である。
日本の年間医療費は34兆円(2008年度)で、GDPの6.9%を占める。このうち、8兆円が薬剤の費用、2兆円が医療材料に使われていると言われている。日本の薬価や医療材料の価格は諸外国と比べても割高と言われているが、その一方で日本の病院の70%が赤字経営で、病棟・病院の閉鎖や統廃合が進んでいる。国民皆保険制度や医療費負担の見直しなどで制度疲労を是正しない限り、“医療崩壊”によって安全・安心という社会秩序の根幹を失う事態に進展することも想定される。
こうした中で今年度からは診療報酬が10年ぶりにプラス改定され、医療体制にどのような変化をもたらすか、注目が集まっている(P10より詳報)。

国際競争力の強化が求められる医療機器業界
グラフ2 医療機器の大分類別生産金額推移/「薬事工業生産動態統計年報」(平成20年)よりグラフ2 医療機器の大分類別生産金額推移/「薬事工業生産動態統計年報」(平成20年)より
医療を支える医療機器産業は、生命に関わる機器を生産する産業だけに、国から安全に関する厳しい指導・制約を受けている。その一方で、長年にわたる総医療費抑制や経済不況などの影響を受け、このところの生産動態は低迷気味。しかも、先端的治療機器の分野では海外勢、とりわけ欧米メーカーの後塵を拝している。2000年4月に策定された「国家産業技術戦略」を受けて同年発足した医療技術産業戦略コンソーシアム(METIS)は、設立趣意の冒頭で、次のように述べている。
「医療機器の世界市場は約20兆円と言われていますが、その内日本市場は約2兆円強でここ数年ほぼ横ばい傾向にあります。日本の医療機器市場は輸入超過が続いており、その原因は特に治療機器の大半が輸入品で占められていることにあります。日本には世界トップクラスの要素技術がたくさんあり、また非常に優れた研究も数多く行われているにも係わらず、医療機器分野における国際競争力は必ずしも強くありません。人類の健康福祉に貢献できる革新的な医療機器開発を促進し、国際競争力を高めるためには、産官学が一体となり、研究開発から実用化・普及に至る戦略を検討することが重要であると考えます」。...

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