〜モノづくりはヒトづくり〜

充実の設備と設計・提案能力を武器に新産業開拓を目指す
スキルドエンジニアの育成と生産管理のIT化に注力

株式会社中藤電機産業



JMC受講時は現場10年のたたき上げ
田中敏之マネージャー田中敏之マネージャー
1998年に18歳で同社に入社した田中敏之マネージャーは、それから約10年間、現場の第一線で経験を積む。最初は曲げ加工、それからブランク加工、プログラム、板金設計と一通りこなしていき、現場の加工スキルと設計提案能力を併せ持つスキルドエンジニアとして技能・技術を磨いてきた。
およそ9年が経った2007年2月、田中敏孝社長の勧めを受け、職業訓練法人アマダスクールのJMC(Junior Management College)を受講した。

作業者から経営者へと意識改革
ブランク工程。左手前から複合加工機EML、厚板加工用FO、パイプ加工用δが並ぶブランク工程。左手前から複合加工機EML、厚板加工用FO、パイプ加工用δが並ぶ
田中敏孝社長は「現場で経験を積みながら、現場視点から経営視点へとシフトしていくタイミングを見計らっていました。約10年が経ち、現場にもおおよそ慣れ、頃合いだと考えてJMCの受講を勧めました。上に立つヒトは、様々な経験を積んでおくことが必要。JMCのような場で様々な種類の会社の人と出会い、悩みや考えを聞くことは、本人にとって貴重な体験になるはずだと考えました」と語っている。
研修期間中、世代も地域も業種も製品の種類もちがうが、事業継承者という境遇を等しくする同期生7名と寝食をともにしながら、経営者としての知識と意識を学んだ。
JMCを受講した田中敏之マネージャーは、「同期の受講生の年齢は20代から40歳くらいまで。現場経験のまったくないヒトもいれば、私のように現場でたたき上げられたタイプもいる。それが約3週間、ともに濃密な時間を過ごすことで、視野はとても広がりました。JMCに参加したことで、経営者の立場に立った考え方ができるようになっていきました。それまでは社長と話が通じないところが多々ありましたが、だんだん言っていることが分かるようになってきた」とにこやかに話す。
田中社長は、「以前は『(社長のやり方は)時代がちがう』といった意見をすぐに言うようなところもありましたが、経営者の考えはそれほど単純ではない。そういったことが分かるようになってきました」と頼もしそうに語ってくれた。

トヨタ車リコールショックを受け、新産業の開拓に臨む
LC-2512δUによるパイプ加工LC-2512δIIによるパイプ加工
同社の得意先は約20社。そのうち主要2社が売上の大部分を占める。業種は、温湿度の変動を検知してボイラーや冷房機などを自動制御する空調設備関係の自動制御盤・高低圧の受配電盤と、工作機械・繊維機械で、特に前者は月産70〜100面を生産し、売上の約70%を占める。それ以外は、海外向けの製品―例えば韓国の半導体製造ラインのクリーンルームに設置するPCラックなど、筐体モノを中心に様々な製品を生産している。扱っている材料は鉄が90%―特に盤の標準板厚である板厚2.3mmがほとんどだが、沿岸地域の屋外など盤の設置環境によっては耐蝕性・耐候性を考えSUS材を使っ厳しくなる一方です。中国のローカルベンダーの見積り金額を比較対象に持ち出される場合もあり、30〜40%のコストダウンを要請されています。今後は、海外進出も視野に入れながら、国内では付加価値を高めて対処していくしか生き残る方法はありません」(田中社長)。...

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