連載「ユーザーが語るデジタル-第2回」

VPSSの実践―つくる・ためる



展開・プログラム作業を行うプログラマ((株)燒リ製作所)展開・プログラム作業を行うプログラマ((株)燒リ製作所)
今号では、VPSSの実践 ― “つくる・ためる・つかう”のうち、ページの関係上、“つくる”と“ためる”についてユーザーが語る説得力のある“声”をご紹介する。

◆つくる
源流である発注元の設計図面から“つくる”展開図は、次工程以降のデータ作成の基準となる。「間違いのないデータ作成こそ、ムダを省く一番の近道」((有)吉見鈑金製作所・長野)との声が、この工程の重要性を一言で表現している。

○電子データで図面を受け取るメリット
AP100で展開後、曲げ線を入力すると立体姿図が作成される((株)大日機鋼)AP100で展開後、曲げ線を入力すると立体姿図が作成される((株)大日機鋼)
“つくる”工程は、そもそもの始まりである発注側から受け取る図面の形式により、その効率性が大きく影響される。媒体の多さでは紙図面、DXFデータ、3次元データの順だが、これは加工側から見れば逆の方が望ましい。
電子データで図面を受け取るメリットを語る声。
 「客先から受け取る製品データは図面またはDXF形式のデータに基づくことで、AP100を使って効率的にCAD/CAMデータを作成」でき、「このDXFデータを使用することで、通常で工数を30%短縮し、不良率を大幅にカットすることができる」((株)マキノ・東京)。
3次元データの場合は、「展開の担当者は紙図面からの展開と比べると10倍以上早いしDXFデータと比較しても数倍早い、と評価」(安田技研(株)・香川)。
SheetWorksを使用して2次元データから3次元モデルを作成しても「複雑な形状で展開に手間取る製品を3次元化し、正確な自動展開を行って大幅な時間短縮」((株)マキノ・東京)を実現。
また、同じく「2次元のDXFデータ、三面図から3次元化し、そこから自動展開してAP100に展開データを取り込むことによって展開不良がほとんどなくなった」((株)コスミック・千葉)。
「3次元データになると展開までの時間が相当短縮でき、間違いのない展開が可能になってきますから抜きから曲げまでのCAMが一気にできる」((株)イコマ・メカニカル・石川)。
その一方で、AP100は「データを使って展開、面出し面合成し」、「立体姿図で形状を作成するたびに確認できるので展開ミスがなくなった」が、その分「お客さまが、いかに正しく図面を作成してくれるかが問題」((株)燒リ製作所・京都)と、発注元の設計図面の不備に対する柔軟な対応を課題と認識する声も挙がっている。

○AP100による展開―立体姿図の効果
展開・プログラム作業を行うプログラマ((株)燒リ製作所)展開・プログラム作業を行うプログラマ((株)燒リ製作所)
設計図面の展開作業で求められるのは、これ以降のあらゆる加工データの基本となる展開図の正確さで、これにより加工品質と生産性が決まってくる。
AP100は「面出し面合成を使い、曲げ線入りの展開図を作成」し、それと同時に「画面上に立体姿図」が自動描画されるので、プログラマは「作成している展開図の良否を簡単に確認」でき、最後に「展開図検証機能で展開図の検証を行う」ことで「展開図の不良がなくなり」、結果として「展開作業からNCデータ作成までの工期が短縮できるようになり“不良撃退”、“時短”を実感」(景山産業(株)・広島)した。
 「展開図と同時に立体姿図ができるので、三面図を見て製品をイメージしなくても製品が完成した姿を可視化でき、板金図面の読み方が分からない未経験者でも立体姿図を見ることで理解が早まっていった」((有)田中鉄工・広島)。...

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