〜世界経済をリードするBRICs〜

シフトグローバルに積極対応
国際標準化と製造工程の自動化でさらなる競争力強化を図る

偉泰(中国)集団



グローバル企業向け板金製品サプライヤーを目指して
張新聯 董事長張新聯 董事長
2003年、日系の有力建機メーカーに勤務していた張新聯 董事長は通信機器メーカーなど世界的な大手メーカー向けの板金サプライヤーを目指して、江蘇省常州市に偉泰電子科技有限公司を設立した。
同社は現在、軌道鉄道関連、電子半導体製造装置関連、通信機器関連、医療機器関連、新エネルギー(風力発電)機器関連―以上5業種をメインに事業を展開。2003年の設立以来、主に日米欧の先進的な設備・生産管理システムを積極的に採り入れ、グローバル企業向けの仕事にも対応できる体制を構築してきた。中国で国際標準の顧客満足を獲得することは容易ではない。実現するまでには、細部にわたる厳格な品質要求、納期対応、多品種少量生産、国内企業相手のビジネスとは大きく異なる習慣など、多くの課題を乗り越えてきた。

飛躍のきっかけとなった商談
EM-2510NTがずらりと並ぶ常州市の主力工場EM-2510NTがずらりと並ぶ常州市の主力工場
創業間もない頃、あるきっかけからアメリカ系企業の半導体関連機器の引合い情報をつかんだ張董事長は、熱心な営業を試みた。
「発注元のアメリカ人エンジニアは苦笑いを浮かべて、『これまで数多くの中国国内の有力な板金業者に打診をしたが我々の要求を満たすことはできなかった。今回は中国での生産計画を振り出しに戻し、コストは高いがアメリカからの輸入対応を考えているところだ』と言いました。それでも諦めずに試作品の製作を申し出たところ、3カ月間のリードタイムと試作のチャンスを獲得できました。当時、当社が備えていた設備とノウハウは限られたものだったのですが、持てる人脈・行動力を余すことなく発揮し、結果的に板金加工のみならずアセンブリーまで含めた最終製品を1カ月前倒しの約2カ月間で、お客さまが十分満足のいくレベルで完成させることができました。その後、このお客さまの製品は当社が一括受注することとなり、現在も良好な関係が継続しています」と張董事長は語っている。
曲げ工程。FBDV-8025NT、RG1003などが並ぶ曲げ工程。FBDIII-8025NT、RG1003などが並ぶ
その後も張董事長の行動力と決断力は如何なく発揮され、実を結んでいく。中でも象徴的なのが、創業時から売上の多くを占めていた大手EMS企業からの受注をすべて返上してしまったこと。ボリュームが大きく、通信機器関連ということで比較的安定した仕事だったにもかかわらず、多方面へ向けた新規展開の足かせになっていたのと一極集中のリスクを懸念しての思い切った決断だった。この判断が功を奏し、その後は多品種少量の医療機器関連や風力発電装置、中国国内で急ピッチで進められている高速鉄道関連の仕事に軸足を移していった。...

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