〜特集「鉄道車両用床下機器」〜
「リアクトル」の板金取付金具を一貫生産
板金・機械加工・溶接技術の複合技術力を活用

株式会社ワールド山内



板金・機械加工・溶接まで充実した設備
山内静治社長山内静治社長
同社は24時間稼働に対応できる板金加工設備の他、門形マシニングセンタ・立形マシニングセンタ・ターニングセンタなどの工作機械設備から、MAG・TIG・スポット溶接機、6台の溶接ロボットなどの各種溶接装置、さらには粉体塗装ブース3セットと焼付塗装用乾燥炉を設備。コンマ以下の薄板から最大50mmの厚板加工まで幅広く対応するとともに、溶接・仕上げ・塗装・組立・検査までの工程で高品質・短納期・低価格な製品提供ができるトータルサプライヤーを目指している。
さらに、道外の仕事を受注するための拠点として東京営業所を開設し、積極的な提案営業を推進。主要な業種だけでも産業機械、電気機器、半導体製造装置、鉄道車両の床下機器、自動車関連部品、食品水産加工機械、 農業機械、内装・装飾、サイン、建築・土木など10業種にも及ぶ。加工能力としてはステンレス製品の高度技術加工、非鉄金属加工、金属加工、レーザ加工、機械加工、切削加工、各種製品の溶接・組立、表面処理、塗装までを包含する。

最終製品のQ,C,Dを配慮したモノづくり
リアクトル製造に活躍するFO-3015FO + ASF-3015FOリアクトル製造に活躍する
FO-3015FO + ASF-3015FO
「私がこの業界に入って39年が経ちました。最初は溶接機をトラックに載せ、道内の牧場を回って農業機械や酪農機械の修理を行い、それから建築金物を手がけるようになって、食品機械や農業機械の板金部材加工へと少しずつ業容を拡大していきました。経営者がこれで良い、と満足していたら事業の継続・発展はありません。ですから私はとにかく前へ前へと積極的な設備投資を行ってきました。15年前からはアマダのネットワーク提案を受け、同業他社に先駆けてVPSSを導入したデジタル板金工場の構築に取り組んできました。しかし、“切る・抜く・曲げる・繋ぐ”という基本的な加工技術は、加工マシンさえ導入すれば、ほどほどのことはできるようになる。設備で差別化を目指してもアドバンテージはすぐになくなってしまいます。お客さまが求められているのは最終製品のQ,C,Dであり、製品にもよりますが、板金加工というのはその一部にすぎない。横持ちしながら複数のサプライヤーで部材調達を行って製品を組み上げていたのでは、たとえ部材の製造コストが下がったとしても工期や物流費がかかってしまい、トータルコストでは必ずしもQ,C,Dを満足させられるわけではありません」山内静治社長は開口一番、厳しい経営環境を語ってくれた。(以下、山内社長談)

“設備力”と“知恵”が武器
3次元ソリッド板金CAD SheetWorksによるプログラム3次元ソリッド板金CAD SheetWorksによるプログラム
「そこで当社は、できる限り最終製品に近いカタチまで加工して、お客さまのラインに直結して納品できる設備力を備えることに力を入れました。本社工場に隣接した土地を購入し、第2・第3・第4工場と建物を増築。第2工場に機械加工設備と粉体塗装設備を、第3工場に6台の溶接ロボットを中心とした溶接設備を導入し、第4工場は米・麦を乾燥させる大型農業機械の溶接・組立工場とするなど、“設備力”を拡大して技術力を磨いてきました」。...

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