〜特集「鉄道車両用床下機器」〜
外注比率が高い床下車載機器、年間生産金額は約927億円
VVVFインバータ制御※装置、回生ブレーキの登場



鉄道車両ビジネスは5,000億円
グラフ2 新造車両生産の年度別推移/国交省グラフ2 新造車両生産の年度別推移/国交省
鉄道車両には大きく分けて車両本体である構体と車輪、それを駆動させるモーターやVVVFインバータ制御装置などが格納された「台車」とに大別することができる。国土交通省が毎年発表する「鉄道車両等生産動態調査(年報)」によると、2008年度の鉄道車両生産金額は2,089億円、新造車両生産台数は2,232両となった。また、鉄道車両部品の生産金額は2,668億円となっており、両者を合計した金額4,757億円が日本の鉄道車両業界の市場規模と言える。
グラフ1は国交省の「鉄道車両等生産動態調査(年表)」から作成した、2000年度から鉄道車両本体と部品の生産額を合算した金額の推移、グラフ2は鉄道車両の生産金額推移、グラフ3は鉄道部品の生産額推移、グラフ4はその内訳である。これらを見ると、生産金額は新造車両数と相互に関連しており、全体としては緩やかな上昇基調となっている。

主要な機器メーカーは6〜7社
鉄道車両メーカーは構体から台車までを一貫して加工・組立して車両を完成させる。しかし、台車に取り付ける車輪の大半は住友金属工業が製造し、各車両メーカーに供給している。同様にモーターをはじめとする床下機器も三菱電機・日立製作所・東芝・富士電機・東洋電機・森尾電機などのメーカーが製造し、車両メーカーに納品され台車が組み立てられる。その後、構体と台車とをドッキングして車両が完成する。

板金比率の高い構体
電車を走行させるのに重要な役割を果たす床下機器にはモーター、VVVFインバータ制御装置などのユニットがある。車両メーカーはコストダウンと省エネの観点から1編成当りのモーターの適正化を目指しており、通勤車両では1台車2モーターでコストダウンを図るとともに、路線別に最適化を行うことでさらなるコストダウンも検討している。また、制御機器を搭載する機器筐体板金は、従来は外部サプライヤーから調達する場合が多かったが、最近は内製化の動きも見られる。...

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