連載「ユーザーが語るデジタル-第1回」

VPSS とは何か



VPSS の構成概念図VPSS の構成概念図
本シリーズでは、これまでに小誌で掲載した全国の板金工場の紹介記事から、ユーザが語るデジタルなモノづくり、 VPSSの生の声をピックアップして要素別にまとめ、連載で紹介していきます。
対象は、小誌2007年9月号から2009年8月号までの2年間分。取り上げる要素は、VPSS に象徴されるデジタル技術を積極的に活用している先進的な板金工場、各種加工マシンの他、板金業界の変化とユーザー各社が抱えている課題、実践している特徴的な取り組みなどです。
連載第1回目の今回は、デジタル板金工場の象徴的なキーワードとして定着している「VPSS」について、成り立ちから仕組みの概要、活用しているユーザーの声まで振り返っていきます。
◆ VPSS とは何か
Dr. ABE_Bend が曲げ加工不可と判定した製品は手動で曲げ加工データを作成する((有)田中鉄工)Dr. ABE_Bend が曲げ加工不可と判定した製品は手動で曲げ加工データを作成する((有)田中鉄工)
円高が進み、モノづくりの拠点が海外にシフトするとともに急速に少子高齢化が進むなど、製造業を取り巻く環境が大きく変化する中で、日本のモノづくりは、作業者のスキルに頼ったモノづくりから、IT技術の発展に支えられ知能化・デジタル化されたモノづくりへと変化を遂げている。今や「デジタル板金工場」の拡充は必達。
まずは、デジタル技術を活用することで板金モノづくりを支援する「VPSS」について、その成り立ちから目的、期待される効果を解説していく。(図1)
○VPSSの原点
発注元から新規品の生産を受注した後、最初に試作品を製作し、各種検証・試験を経てから量産に入るというプロセスは、従来から行われているスタンダードな手法である。板金加工における試作品の加工工程は、次のようなものとなる。(図2)
しかし、試作品の製作は通常、1回で完成させることはできず、複数回の試行と修正を経てようやく完成させることがほとんど。この試作品製作に要する工数・材料費・人件費・マシン稼動費用が実はムダではないだろうか。このムダを最小限にすることにより損失を抑えることができるのではないだろうか。この発想が、VPSSの原点である。...

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