〜特集「製造業の海外移転と板金業界」〜

国内外で発注元とのコラボレーション・エンジニアリング体制を構築
板金筐体メーカーの生き残りを懸けた戦い

岡部工業株式会社



提案型の営業を展開
岡部浩章社長岡部浩章社長
同社は板金筐体のメーカーとして設計から組立までを一貫して行う受注・生産体制を確立するとともに、高レベルの顧客満足度を目指して提案型の営業活動を行っている。中でも同社が得意とするATM筐体は、使いやすさとともに犯罪を未然に防ぐ堅牢な構造体が求められ、その技術が評価されることで、ATM以外の金融端末装置や医療機器などでも仕事の幅を拡げる努力をしている。
500点以上の板金部品で構成されるATM筐体
受注する製品はATM・光通信中継機などの大型・精密・特殊板金筐体が中心。ATM筐体は500点以上の板金部品で構成されているため、部品加工の進捗管理や、溶接および組立のための部品の取りそろえなどを管理するために、独自の生産管理システム(通称POPS)を開発。このシステムの運用によって、高効率の生産体制を構築している。毎月の生産機種は60〜70機種。生産数量は、季節変動があるものの、ATMなどのリピート製品では月産300台ロットの加工もある。しかし、多くが1機種平均20〜30台であり、変種変量生産品が多くなっている。

板金メーカーとして生き延びるために
曲げ加工を行う工程にはネットワーク対応型のべンディングマシン3台が導入されている曲げ加工を行う工程にはネットワーク対応型のべンディングマシン3台が導入されている
「当社の目標は筐体板金メーカーとして生き延びていくことです。そのために筐体板金の仕事があるところへ(地産地消に準じて)出かけて仕事をさせていただく、というスタンスで、中国のみならず、今後はATM需要の拡大が期待されているインドへの進出も視野に入れ情報収集に力を入れたいと考えています。アジアと一口に言っても、それぞれの国柄があり、その国の政策や施策・文化などを研究し、いろいろなヒトのご意見も頂戴しながら、どのような方法が良いか、研究しています。当社は2003年に中国・深で生産拠点を立ち上げ、操業にこぎつけました。中国法人の売上は徐々に上向き、この調子で伸びていくことができれば、グループ全体でもかなり良い業績を達成できるのではないかと考えています」。岡部社長は疲弊する国内事情と、海外進出の1番手、中国の状況を語っている。...

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