〜モノづくりはヒトづくり〜

ヒトづくりのコストパフォーマンス
モノづくり立国、日本の危機

編集部



現場を熟知したオペレータがプログラム作成も兼任する板金工場現場を熟知したオペレータがプログラム作成も兼任する板金工場
“コモディティ化※1”で受注単価も下がる
板金業界の業況は、一部に回復の兆候が見られるようになっている。「昨年11月頃から半導体製造装置やPV(太陽電池)製造装置関連の仕事が回復、6月頃までの受注見通しが立つようになった」、「受注量はピーク比7〜8割程度まで回復した」といった声が聞かれるようになった。
その反面、受注単価の値戻しは進んでいない。さらに、限られた仕事をめぐって「激安価格で見積り競争に参入してくる同業者が後を絶たず、価格競争によって収益が一段と悪化している」という声や、「いったん下がった材料価格がここへ来て再び上昇する傾向が見られ、収益を圧迫するようになっている」。「発注元の製品が韓国・台湾・中国などの製品との厳しい競争にさらされ、価格破壊を起こしている。ボリュームゾーンを対象とする工業製品の“コモディティ化”が進むことで部品の発注単価も3割下がった」といった板金サプライヤーの声も増えている。その結果、「仕事はピーク比の7〜8割まで戻ったが、受注単価は3割程度下がり、売上は5〜6割程度までしか回復していない」という発言に代表されるように収益の改善が進まず、板金業界全体が減収減益スパイラルからの脱出には程遠い状況にある。そのため、年度末を迎え、さらなるリストラによる固定費削減を図る傾向も目立ってきている。
現場を知能化・ロボット化して、考えるのはエンジニアリングルームだけというシステムを構築する板金工場が出現してきた現場を知能化・ロボット化して、考えるのはエンジニアリングルームだけというシステムを構築する板金工場が出現してきた
「仕事量は戻ってきているが短納期の仕事が増え、残業や休出で対応するケースも出ている。しかし、忙しいといっても短期的な局所傾向であり、操業の平準化を行うのが難しく、一時帰休の解除も見送っている」と先行きが読めない受注環境に板金業界の雇用改善も程遠い情勢で、さらなる固定費圧縮に苦慮する声も聞かれる。

曲げ作業現場でリーダーが図面の見方や曲げ方などを指導する曲げ作業現場でリーダーが図面の見方や曲げ方などを指導する
トータルコスト低減を目指すエンジニアリング力
こうした厳しい環境の中で板金企業が目指しているのが、発注元からの提示された図面どおりの見積りを行うのではなく、そこに各社の加工技術やノウハウを上乗せしたVA/VE提案。さらに、3次元CADを活用して、2次元データで受注した製品を3次元モデル化してVA/VE提案するとともに、設計上流とのコラボレーションを積極的に行うことで板金設計を取り込み、加工・組立までをターンキーで受注、トータルコストの削減を提案できるエンジニアリングの...

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