〜特集「板金業界展望」〜

待ったなしのシフト・グローバル
板金の国内需要は減少する?

編集部



2010年の世界経済の成長見込み/ IMF発表資料より2010年の世界経済の成長見込み/ IMF発表資料より
年央から回復も需給ギャップとデフレスパイラルは改善されず
年明けの日本経済は、円高が一服したことやアメリカ経済に一段の景気回復の兆しが見られたこと、中国をはじめとした新興国の経済が堅実に成長していることなどを好感して株価も1万円台を維持、当面の目安である1万2,000円台を伺う気配も現れ、リーマンショック後の金融不況で明けた前年に比べると若干の余裕が感じられるようになった。
板金業界でも、新興国向けの輸出が伸びていることで一部機種で増産を始めた建設機械業界、昨年10月以降から回復してきた半導体市場に対応した半導体製造装置業界などからの発注が上向いてきたこともあって、一部で繁忙感も出始めている。
年明け後の新聞各紙で発表された景気見通しでも、年央からは着実な景気回復が見込まれ、政府・内閣府や日銀短観などでも「景気は下げ止まり、緩やかな回復傾向が見られる」と表現されるようになり、景気は底を打ち、緩やかな回復軌道へ向かっている。しかし、国内の需給ギャップは相変わらず「35兆円以上ある」(日銀)とも言われ、物価の下げ止まり傾向も見られず、デフレスパイラル※1は改善されていない。

外需依存の景気回復
民間の設備投資も半導体製造装置などは海外向けを中心に上向く傾向が見受けられ、2009年1-3月期が2007年比で80%以上の落ち込みとなっていた工作機械や鍛圧・板金機械の受注も10-12月期では1/3程度にまで回復している。しかしながら、日本工作機械工業会、日本鍛圧機械工業会が発表した2010年の受注見通しでは2007年比で40%程度の回復しか見込まれていない。しかもその50〜70%を海外向けの受注が牽引すると予測されており、受注が上向いているとはいえ、その多くが外需依存にあるというトレンドに変化は見られない。

BRICsの台頭とボリュームゾーン
外需、とりわけ世界人口の45%、土地の30%を有するBRICs※2、中でも人口13億人の中国、10.5億人のインド、そして2014年のサッカー・ワールドカップと2016年のオリンピック開催国であり、人口1.8億人のブラジルの経済発展に世界経済が依存する傾向が強まっている。中国、インド、ブラジルは2010年のGDP成長率をそれぞれ9.0%、6.4%、3.5%としており、電力・鉄道・空港・港湾・道路・建物といった社会インフラの整備に膨大な国家予算を投入する。投入される大規模な政府資金による波及効果によって国内に様々な産業が勃興し、膨張を続ける市場に向けて様々な商品が投入されている。そこに新たな市場が生まれ、経済発展が持続的に行われる好景気スパイラルが続き、購買力も高まり、市場にはボリュームゾーンが生まれている。...

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