〜世界経済をリードするBRICs〜

社会インフラを中心に成長を続けるインド国内産業
国内4地域でローカルベンダーが台頭



グラフ1 世界の工業製品生産額推移/ Oxford Economics発表資料より作成(以下、同)グラフ1 世界の工業製品生産額推移/ Oxford Economics発表資料より作成(以下、同)
景気回復のカギはBRICs諸国の経済発展
ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の4カ国―通称BRICsが、2008年の金融危機以降、世界経済の成長点として注目されている。経済発展が著しく、世界全体に占めるBRICs各国のGDPや貿易額の割合が急速に高まっており、世界経済に多大な影響を与えるようになった。
BRICsの第1の強みは、広大な土地。国土面積ではロシアが世界1位、中国が3位、ブラジルが5位、インドが7位となっている。広大な国土には豊富な資源も眠っている。第2の強みが、BRICs 4カ国の合計で世界の約45%を占める人口。中国が約13億人で世界1位、インドが約10.5億人で2位、ブラジル5位、ロシア7位となっており、人材にも恵まれている。
ロシア・中国は共産党による一党独裁体制が長く続き、競争原理が通用しない社会主義経済体制によって経済成長が阻害されてきた。しかし、1989年のベルリンの壁の崩壊によって東西冷戦構造が終焉し、社会主義経済から改革開放経済、資本主義経済へと移行するなど、様々な改革が進められ、潜在力を実際の経済成長に反映させることが可能になった。
その結果、2008年でG6(アメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア)の15%に過ぎなかったBRICsの経済規模は、2025年には約50%にまで成長。2040年頃にはG6を上回り、2050年にはG6の1.5倍にまで発展すると見られている。世界人口の45%が生活するだけに、所得水準が高まれば国内消費が爆発的に伸びる。また、経済成長に伴いBRICs諸国の為替レートが上昇すると予想され、相対的に先進国の為替レートが下落すれば先進国にとっては新たな輸出市場としての魅力が増すことになる。こうした状況から、今般の景気低迷からの脱出のカギはBRICs諸国の経済発展にあると言っても過言ではない。

グラフ3 中国の金属工作機械投資額推移グラフ3 中国の金属工作機械投資額推移
2010年には2ケタ成長のアジア
グラフ1は、世界的な経済調査会社Oxford Economicsが調査した2000〜2012年の工業製品の生産額の推移を示したもの(2009〜2012年は予測)。グラフからも分かるように、アメリカやヨーロッパ諸国は2008年9月に発生したリーマンブラザーズの経営破綻を境に生産額が急激に落ち込み、マイナス成長となっている。2009年を底にプラス成長に戻し、2010〜2012年にかけて緩やかに回復すると見込まれているが、中国、インドを含むアジアは2009年半ばには回復し、2010年には2ケタの伸びが見込まれている。...

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