そこが聞きたい - 税の話

延長された人材投資促進税制

税理士 毛塚勝貴



「人材投資促進税制」とは社員の育成のために講師料や研修費用を支払った場合、その総額に一定割合を乗じた金額を、納付すべき法人税額から控除できるという特例制度ですが、平成20年度の税制改正で、従来の規程より使いやすいものになりました。そして、平成21年度の税制改正において、この特例制度の適用期限が2年間延長され平成23年3月31日までの間に開始する各事業年度末までとされました。
従来の特例
平成20年3月31日で廃止された従来の人材投資促進税制は、まず当期の教育訓練費が、過去2年間の教育訓練費の平均額を超えること、それが特例を適用することができるか否かの要件でした。そして当期の教育訓練費が過去2年間の平均額を超えた場合に限って、当期の支出額に最大20%(中小企業者等の場合)を乗じた金額を、納付すべき法人税額から控除できるというものでした。つまり、この従来の特例は、教育訓練費が年々増加していかないと使えない制度でした。
改正後の特例
平成20年4月1日から開始する事業年度から適用される改正後の制度は、単年度の教育訓練費の額のみで、特例を適用することができるか否かを判断します。この改正により、労務費に占める教育訓練費の割合が0.15%以上あれば、当期の教育訓練費に8〜12%を乗じた金額を、法人税額から税額控除できるようになりました。継続的な人材投資が困難な中小企業にとって、毎期の教育訓練費の増減にかかわらず、適用事業年度において一定額を税額から控除できる訳ですから、使える特例になったといってよいでしょう。...

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