〜板金業界の次世代を担うJMC 修了生 - 第6回〜

語学留学から帰国後、板金企業の事業継承者へ
溶接と環境― “らしさ”を追求して逆風に対応

三条精密工業(株) 丸山正晴さん



丸山正晴専務丸山正晴専務
現在29歳の丸山正晴専務は、2001年に語学習得のため渡米。半年の語学研修を終えた後、現地の短大に学び、卒業後帰国、そのまま2003年春に同社に入社した。「一度くらい別の会社で働いてみたかったというのも本音ですが、留学先で就職活動はできませんから、帰国したら宙ぶらりん。そんな時に社長から『うちで働かないか』と強く誘われたことで、決意が固まりました」と丸山専務は語る。

現場の各工程を一通り経験
入社後はバリ取りなどの2次加工、レーザ加工、パンチング加工、曲げ加工と、各工程を3〜4カ月ごとに巡っていった。専任のプログラマーを置かず、ブランク工程のオペレーターが展開作業を兼務する同社では、丸山専務もこの時期にAP100による展開プログラム作業を担当している。約1年かけて各工程を経験した後は、レーザ加工とプログラムに従事した。
父である丸山勝社長は、「現場を一通り知らないとモノづくりはできない。現場の苦労は体験しないと分かりません」と当時の心境を語る。それに対して、家業とはいえ、それまで板金加工業にまったく馴染みがなかった丸山専務は「たしかに苦労しました」と苦笑する。「当時は自分が何の作業をしているのか、分かりませんでした。タップ立ての際に切削油がないと刃こぼれする、常識ですが最初はそれさえ分かりません。そこまで懇切丁寧に教えてくれる余裕のある人はいませんでしたから、自分で調べたり考えたりしながら、必死に覚えていきました。短い期間ですが、こうして各工程を一通り経験できたのは良かった。おかげで経営者に必要な眼―1つの工程に偏らず、生産体制全体について目配りする下地ができたと思います」。

JMC講座「国の中小企業施策」で発表を行う丸山専務JMC講座「国の中小企業施策」で発表を行う丸山専務
意識変革
― “作業者”から“経営者”へ

2006年5月頃、唐突に丸山社長から「JMCへ行ってこい」と告げられた丸山専務は、同年8月、職業訓練法人アマダスクールが主催する第97期JMC(Junior ManagementCollege)を受講する。
丸山社長は、「マシンの操作や現場の仕事は社内でも教えられますが、板金企業の会社経営を学べる場は少ない。入社後3年が経過して、そろそろ頃合いかな、と考えました」。
丸山専務は、「JMCを受講したのは、自分なりのビジョンを持ち始めた頃でした。しかし、JMC期間中に事業継承者として高い意識を持つ同期生や、板金企業の経営に精通した講師陣と交流することで、意識が大きく変わっていくのが分かりました。JMCは、“作業者のビジョン”から“経営者のビジョン”へとシフトしていく大きなきっかけになりました」と語っている。
JMC修了後、丸山社長と丸山専務との間では、仕事の話題―経理を含む経営全般に関する話題が次第に増えていったという。...

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