‹事例研究›―南ドイツの板金事情(1)

高品質・短納期・多品種少量生産に対応する
小段取り化を実現するベンディングロボットシステムを6台導入


HA-BE Gehausebau GmbH



HA-BE 社のKarl-Heinz Brunner 氏HA-BE 社のKarl-Heinz Brunner 氏
60年以上の歴史
南ドイツの中心都市、ミュンヘンから70kmほど東に位置する工業都市ランツフートの近く、アルトハイムにあるHA-BE社は60年以上の歴史を持つ。創業当初はシュツットガルトに工場があったが、1959年にランツフートへ移転。1976年に現代表のハインツ・ブルーナー氏が会社を引き継いだ。そして1980年代に板金加工マシンがCNC制御技術やレーザ加工技術の開発によって大きな技術革新を遂げる中、同社は1987年にドイツのメーカーが開発したパンチ・レーザ複合マシンを導入、板金加工のプロセスイノベーションを実現させた。それ以降、同社は常にハイエンドでフレキシブル(柔軟)な加工設備を導入して顧客からの高度な要求に応えていくことで仕事を拡大。それに伴って工場建物、設備を拡張していった。1988年にはカール・ハインツ・ブルーナー氏が入社し事業はさらに拡大していった。1992年には現在のアルトハイムに第2工場を建設した。1997年に最初のベンディングロボットを導入、2001年に立形のレーザ加工機能とバックゲージを不要とするスイングベンド機能を統合したアマダのASTRO-540を導入。それ以降、ASTRO-100NT/100NTCELL/100NT TE-LUL(2台)、フランス製のベンディングマシンをベースに開発されたASTRO-50Y withHFE-1704など6台のベンディングロボットを次々に導入していった。さらに2カ所にあった工場をアルトハイムに統合、2006年に新工場を増築した。

ベンディングロボットASTRO-100NT、2台が稼働するベンディングロボットASTRO-100NT、2台が稼働する
提案営業で仕事は70%まで回復
「当社の受注も一時期にはピーク比で50%まで落ち込みましたが、もともと350社あまりの得意先を抱えるジョブショップですから積極的な提案営業を行うことで現在は70%程度にまで回復しつつあります。本格的な景気回復は2012年頃までかかるのではないかと思います。当社はオーダーメイドされた板金製品を加工するための“エキスパートシステムプロバイダー”として板金加工、プレス加工、機械加工を統合して様々な顧客のニーズに対応しています。顧客からの要求を満たすための専門知識を備えたエンジニアとそれを支える加工技術、創造力と効果的なプロジェクトマネジメントによって顧客満足度を改善しています。ファミリーが経営に参画して以来、最新の加工設備を導入して、最高の加工技術による高品質で多機能な製品の加工を実現しました。工場内にはロットが1〜50個までの試作や小ロット生産に対応するプロトタイプ加工ライン、50〜1,000個までに対応するCNC加工ライン、1,000〜最大10万個までに対応するプレス加工ラインと大きく3種類の加工ラインを持っています。板金加工のプロセスチェーンの先頭にはSheetWorksなど3次元ソリッドCADが4台あります。これで板金設計から、発注元より受け取った3次元の製品モデルから板金部品を抽出したり、2次元データを3次元化して板金展開を行ったりしています。CAMはメーカー製のシステムからサードパーティーのものまで各種あります。顧客から来るデータは発注データを含めてEDI化され、大半が電子データとなっています。発注データは自社のERPシステムで処理され、納期に応じた材料手配、在庫からの引き当て、払い出しを自動で行い、生産手配を掛けています。工程の進捗、実績管理はバーコード付きの作業指示書で行っています」と、カール・ハインツ・ブルーナー氏は語っている。...

つづきは本誌2009年11月号でご購読下さい。