〜特集「堅調な鉄道車両業界」〜

鉄道車両の増産で仕事の見通しは明るい
アルミの加工技術に高い評価

新冷工業(株)



外川昌宏社長外川昌宏社長
同社の主要取引先は、川崎重工業車両カンパニー、川重車両コンポ、ヤシロコンポジット、キャタピラージャパンなど。鉄道車両と建設機械を主な業種とする同社は、昨年秋以降の世界同時不況の影響を大きく受け、3月頃まではピーク比で3割減の受注になった。

仕事の見通しは明るい
特に1月からは、建設機械用部品の仕事が大幅に落ち込み、例年の80〜90%減となる一方で、鉄道車両用部品の受注は増加。現在の売上比率は、建設機械10%に対して、鉄道車両業界向けが90%を占めるようになっている。鉄道車両業界の好調のおかげで、売上全体で見ると、月を追うごとにピーク時の状態に近づいている。
最大の得意先である川重車両コンポからは、新幹線・通勤車両・輸出車両・機関車などの運転台まわりの製品(骨組み部分や計器盤カバーなど)をメインに受注。今のところ、東北新幹線の現行車両E2系・E3系がモデルチェンジするまでの必要編成分、アメリカ向けの地下鉄などが中心だが、2009年末には、国内向けの新型新幹線車両の製造も開始される。さらに、JR西日本が2011年の九州新幹線の全線開業に合わせて山陽新幹線から乗り入れる「さくら」に使われるN700系をベースとした新型新幹線車両の生産も始まる。その他、台湾向けの通勤車両関係などの生産が本格化すると見込まれている。同社の外川社長は「新幹線をベースに、通勤車両や輸出車両も含め、相当量の仕事が見込めます。その後は、ベトナムやカリフォルニアの高速鉄道受注がどう展開するかに懸かってきます」としている。

YAGレーザロボットシステムYLR-1500IIでは切断ヘッドと溶接ヘッドを付け替えてアルミ合金とステンレスの切断・溶接作業を行うYAGレーザロボットシステムYLR-1500IIでは切断ヘッドと溶接ヘッドを付け替えてアルミ合金とステンレスの切断・溶接作業を行う
素材の50%がアルミ合金
同社が手掛ける素材の内訳は、新幹線に多く使われるアルミ合金が約50%、通勤車両に多いステンレスが約40%。通勤車両や機関車に多く使われる鉄は約10%で、酸洗材を使用し、塗装を施す。板厚は、アルミ合金は0.5〜9.0mmで6mm以下が主、ステンレスは0.3〜12mmで9mm以下が主、鉄は0.6〜16mmで12mm以下が主となっている。
運転台の部品点数は20〜50点で板厚は様々。1カ月の受注アイテム数は1,000点を超え、リピート品が約80%を占める。
受けCADとしてSheetWorksを活用
発注元の図面は、紙図面かDXFデータをメールで受け取る。メインで手掛ける運転台は組図・三面図や3次元データで受け取り、同社が溶接分断線、曲げ位置を決定し、板金属性の定義、バラシ、展開を行う。組図には発注元が構成部品それぞれにナンバリングしていることもあり、それを基にバラすこともあるが、溶接を少なくするために発注元の設計者と相談しながら部材の展開も変えていく。...

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