〜特集「堅調な鉄道車両業界」〜

新幹線車両、通勤車両、輸出車両、機関車など
多彩な車両の部材を生産

川重車両コンポ(株)



取材に応じる川重車両コンポ、大西教雄常務(左)と部品事業部工作部和田博之部材工作課長(右)取材に応じる川重車両コンポ、大西教雄常務(左)と部品事業部工作部和田博之部材工作課長(右)
受注環境は堅調
川重車両コンポは、鉄道車両業界のトップ企業である川崎重工業且ヤ両カンパニーの子会社として新幹線車両や通勤車両、輸出車両、機関車などの部材加工、車両用各種シート、荷棚、車両内装パネル、車両運転台ユニット、側引戸などを製造している。最近の受注環境は堅調で、川重車両コンポの親会社にあたる車両カンパニーは、2012年頃まで国内向けの各種車両の生産が予定されており、また、川重車両コンポではニューヨーク市地下鉄車両など海外向けの部材製作も担当し、順調である。

板金工程では2シフト制を導入
国内産業界が過剰設備を抱え設備稼働率の低下に苦しんでいる中で、鉄道車両業界の設備稼働率は高い。川重車両コンポは正社員350名に社外工260名で製造部門は正社員240名、社外工260名の500名体制で、一部の板金加工ラインでは2シフト制を採っている。
同社で製造する製品は新幹線車両、通勤車両、機関車、輸出車両と需要先別に大きく4種類に分けられ、主要材料も新幹線車両向けがアルミ合金、通勤車両、輸出車両向けがステンレス鋼、機関車向けが普通鋼などとなっている。
同社の製造設備も部材切断から穴あけ、成形、曲げ、溶接・組立まで、加工する材料によってアルミ合金、ステンレス鋼、普通鋼と大きく3種類に区分けされている。
「現在、切断や抜き、曲げなどの板金加工工程は2シフトで稼働しており、残業を加えると24時間稼働を行っています。納期次第では休出も実施しています」。部品事業部工作部部材工作課の和田博之課長は最近の稼働状況をこのように語っている。

通勤電車の側引戸通勤電車の側引戸
1,000点から2,000点以上の部材で構成される構体
アルミ車両の構体では2,000点以上、ステンレス鋼を中心に使う通勤車両や輸出車両などでは1,000点以上の部品が使用される。これらを納車日程に対応して加工するため、製造現場では多品種少量、変種変量生産が当たり前。そのためにプログラム工程から切断、抜き、曲げ、成形、溶接・組立までの全体最適を考えた設備計画を立てていかないと工程間での滞留が発生する。そこで、同社では車両カンパニーの構体組立ラインへの部材投入日を基準に、生産計画を立て、JIT生産に対応している。...

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