そこが聞きたい - 税の話

「使える特例」エンジェル税制
1,000万円を上限に投資額を寄付金控除の対象に

税理士 毛塚勝貴



エンジェル税制とは、ベンチャー企業へ投資を行なった個人投資家に対して、所得税減税を行なう制度です。このエンジェル税制は平成9年度税制改正において、繰越控除等の特例制度として創設されて以降、何回かの改正を経て、平成20年度の税制改正において実際に「使える特例」となりました。
投資リスクの高いベンチャー企業に対して、実際に出資するか否かの判断材料の1つとして、税制が「どの程度面倒を見てくれるのか」と言う事があると思います。残念ながら従来の特例は、投資時点あるいは売却後において多額の株式譲渡益を有する方でないと、何らメリットのないものでした。何故ならば同じ株式同士の譲渡益と譲渡損の相殺にしか過ぎない特例だったからです。
【従来の特例】
従来のエンジェル税制は、一定要件を満たすベンチャー企業に投資した場合に、投資時点で その投資額をその年分の他の株式譲渡益から控除する他、売却時点では 譲渡益が発生した場合にはその1/2だけを課税対象とし、 譲渡損が発生した場合には翌年以降3年間にわたって繰越控除を認めるというものでした。
【平成20年度税制改正】
平成20年度の税制改正において、譲渡益の1/2課税の特例が前倒しで廃止され、その代わりに投資時点での優遇措置として、個人が平成20年4月1日以後に、設立3年未満の一定要件を満たす未上場ベンチャー企業に投資した場合、1,000万円を上限として寄附金控除の対象とする特例(租税特別措置法第41条の19)が新たに創設されました。...

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