〜板金業界の次世代を担うJMC 修了生 - 第5回〜

“可能性”を求めて後継者の道を選択
溶接と環境― “らしさ”を追求して逆風に対応

(株)ベルスター・スズキ 鈴木雅八さん



鈴木雅八常務鈴木雅八常務
鈴木雅八常務は現在31歳。静岡大学の情報言語学科でコンピュータプログラムを専攻。大学卒業後、22歳で同社に入社し、製缶加工現場で溶接工として働くかたわら、夜間は静岡大学の人文学部経済学科で4年間、マクロ経済、ミクロ経済、ゲーム理論、統計、簿記などを学んだ。以来、9年が経過した。

“可能性”を求めて事業継承者の道を選ぶ
「幸運なことに、私には大学卒業時、サラリーマンになるか、経営者になるか、2つの選択肢から選ぶことができました。子どものころから、漠然とですが自分が家業を継ぐことを意識していましたし、高校生・大学生の頃にも当社の現場でパンチングマシンのオペレーターとしてアルバイトをしていましたので、私にとって家業は馴染み深く、事業を継承することに対して抵抗を感じることは少しもありませんでした。当時は、新たな事業を興すにしても異業種へ展開するにしても、資金繰り・人脈の両面でゼロから始めるよりは圧倒的に有利だという考えも持っていましたので、より大きな可能性のある道―大変でもやりがいがある経営者の道を選びました」。
3次元ソリッド板金CAD Sheetworksで作成した3次元モデル3次元ソリッド板金CAD Sheetworksで作成した3次元モデル
“要”の溶接工を経て営業へ
鈴木常務は入社後、製缶溶接を3年間担当。その後、現場の曲げ工程を1年間、AP100を使用したプログラム工程を2年間担当し、現在では常務取締役として管理業務とともに営業を担当している。
「製缶と板金の融合」を謳う同社では、チャンネルやアングルといった鋼構造物の穴あけ・切断・溶接・組立といった製缶加工、付帯するパネルやフレームなどの抜き・曲げ・溶接・組立といった板金加工を行っている。製缶・板金のどちらでも重要なファクターである溶接工程が、同社の“要”となっている。
「当社の最大の強みは溶接です。あの“鉄が沸く”感覚。鉄が伸び、縮む感覚。こればかりは現場で実作業に携わらないと体験できません。当社を継ぐからには、溶接の現場を肌で知っておく必要があります」。入社したばかりの鈴木常務を真っ先に溶接工程に配置した思いを、父である鈴木國近社長はこう語っている。
JMC最大の収穫は“外”の視点と出会えたこと
製缶溶接を3年間、曲げ工程を1年間担当し、静岡大学で2つの学士号を取得した鈴木常務は、2005年4月、鈴木國近社長の勧めで職業訓練法人アマダスクールが主催する第93期JMC(Junior ManagementCollege)を受講した。
受講を勧めた鈴木社長は「現場で4年間の勤務実績はあっても、板金企業の事業継承者としてのOJTは不十分。夜間の大学を修了して家業に本腰を入れるタイミングに合わせて、板金企業に特化した経営後継者研修であるJMCで学ばせようと考えました」と語っている。...

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