<事例研究>

遊技場設備機器から薄型パネル製造装置関連、農業・水産業向け機器や
工作機械関連まで、お客さま満足度向上で仕事を拡大

渡辺工業(株)



DWG データで送られてきたパーツデータを同社の3 次元CAD/CAM システムで3次元化し
てアッシー図を作成するDWG データで送られてきたパーツデータを同社の3 次元CAD/CAM システムで3次元化し てアッシー図を作成する
“キング・オブ・シートメタル”
同社は量産プレス板金を除く、典型的な多種少量生産を主体とした板金製品を生産。受注製品の主力は遊技場設備機器関連。主としてパチンコの玉循環研磨・補給システムおよび、電気やガスを熱源に製品を数百度から数千度に加熱する焼成炉などのパネル製造装置関連、半導体装置関連に至るまで高品質な板金製品を加工し、納期やコストを含めた総合的な品質を一貫して追求している。目標は“キング・オブ・シートメタル”、エキスパート集団による“ベスト・サプライヤー”を目指している。
不況期には遊技場設備関連の仕事が8割

世界同時不況の影響が同社に出始めたのは今年の4月以降。1〜3月期までは例年の受注よりも増加気味に推移するなど順調だった。「4月からドンドンと下がって現在は前年比で35%程度落ち込んでいます」と語る渡辺社長だが、現在でもピーク比で3〜5割しかないという同業他社にあって、同社の受注は堅調な部類に入る。その理由は、現在、受注の8割近くを占めているパチンコ店用設備機器の落ち込みが少ないこと。名古屋地区は近代パチンコ発祥の地としても知られ、関連する企業の数が多く、同社が長年取引する得意先がパチンコ店用設備機器を手がけている。パチンコホールで使用される玉は、研磨機で磨かれ、常に循環、補給される。大型ホールでは使用される玉の数も大量で、様々な機器が使われていて、それが研磨装置や揚送・搬送装置などである。玉研磨揚送装置にはバッファー用のタンクが設置される。また、ホールのレイアウトに応じて様々な機器が必要となっている。この装置の設置用ベースフレーム、タンクはボンデ鋼板1.6、2.3mmを使用、レーザ、パンチング加工でブランク材を加工後はベンディングマシンで曲げ、さらに溶接、緩衝材の貼り付け、リベット締結を経て製品化される。同社ではこの装置類、タンクなどの板金製品をセット受注するとともに、モ−タ類や樹脂部品の組込みなど一部組立までを担当する。
パネル製造装置の一部、焼成炉用排気ダクトの突き合せシーム溶接をYAG レーザ溶接ロボット(3kW)を使って行うパネル製造装置の一部、焼成炉用排気ダクトの突き合せシーム溶接をYAG レーザ溶接ロボット(3kW)を使って行う
不況でも人気
不況と言われながらもパチンコは庶民の娯楽として人気が高い。特にキャラクターを使用した台が開発され、遊び方も様々な工夫がなされて、若い世代から女性まで幅広い需要層が広がった。しかし、パチンコホールの経営破綻は逆に増大。業界調査では全国のパチンコホールの数は2007年の1万5,000店が2008年には1万2,000店、2009年以降10,000店を割るのは時間の問題と言われる。パチンコホールの破綻が続く理由は、莫大な利益をもたらしたパチスロ機(通称「4号機」)への規制が全国各地の公安委員会の下で強化され、俗に言う「4号機バブル」が弾けたこと。もう1つ、ギャンブル依存の主婦層や若年層の急増が社会問題化、貸金業法改正に伴い、消費者金融業界のホール利用者向け貸し出し規制が厳格化したことも背景にあると言える。...

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