〜業界特集 堅実な農業・畜産機械業界〜
―乳製品加工に欠かせない乳業機械のメンテをビジネスに―

6kW発振器搭載のLC-F1NT導入で短納期を実現

(株)酒井鉄工



牛乳、乳製品の原料である生乳の生産が減少
LC-3015F1NTの前に立つ酒井眞司社長LC-3015F1NTの前に立つ酒井眞司社長
乳牛から搾り出された生乳は、牛乳となる飲用乳、バターやチーズといった乳製品、パンや菓子の原料と、それぞれに割り当てられる。図1の?日本酪農乳業協会の統計にあるように牛乳生産量は2008年で4,000万トン前後と、1997年から毎年減少傾向となっている。
牛乳、乳製品の原料である生乳の生産が減少
乳業機械のメンテナンス事業乳製品の生産に関連して図2に示すグラフはバター生産に占める北海道地域のシェアを示すものである。生乳生産で北海道のシェアが高いということもあるが、酪農が盛んな釧路、帯広といった地域を中心に乳業メーカーの生産工場が点在していることも大きい。
乳製品の製造に欠かせない乳業機械の大半は、デンマークなど欧州メーカー製が多い。機械は当然、経年劣化により装置・部品の故障が起きる。部品交換などを伴うメンテナンスは直接、欧州のメーカーから来てもらう場合もあるが、日常的なメンテナンスに関しては外部サプライヤーから人を派遣してもらい対応しているのが実態である。こうした乳業メーカーの設備保全で独特のノウハウとメンテナンスに必要な部品・部材調達能力を発揮しているのが株式会社酒井鉄工である。
精密製缶をメンテ事業に生かす
3次元レーザマシンLC-3015θUは直径150mmまでのパイプ加工に威力を発揮する3次元レーザマシンLC-3015θUは直径150mmまでのパイプ加工に威力を発揮する
同社は乳業設備のメンテナンスにかけては道内唯一のメーカーで、森永乳業・明治乳業・雪印乳業といった大手メーカーから地場のローカル乳業メーカーまで幅広い人脈と経験でメンテナンス事業を請け負っている。1950年に鋤、鍬などの農具を製造する鍛冶屋として創業した同社は、40年ほど前に明治乳業が道内に最初の乳製品加工工場を開業した時から設備メンテナンス作業を請け負うようになり、メンテナンス用治具、保用部品製作から施工までを行ってきた。
HCCP対応が求められる
最初は壊れた部品を原寸取りして型紙を製作、型紙に基づいて薄板を切断して現物に重ね合わせ、これならできると確認してから実物を製作していたが、経験を重ねるうちに自社で図面を起こし、そこから板金展開して部材を加工するようになっていった。シャーで切断してコーナーシャーやアイワンワーカーなどで加工していたが、乳業機械も食品機械。食品を製造する際に工程上の危害を起こす要因(Hazard)を分析し、それを最も効率よく管理できる部分(CCP:必須管理点)を連続的に管理して安全を確保するHCCP(ハセップ)が国内に導入され、全衛生管理が強化されると、ステンレス材の使用が増え、品質・精度管理も厳しくなっていった。...

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