〜業界特集 堅実な農業・畜産機械業界〜
―各種農業用運搬車両を製造、国内外で需要が伸びる―

LC-F1NT導入で加工領域が拡大、工期短縮にも貢献

(有)河島農具製作所



「製品名:IHIシバウラブランド乗用スイーパ SS1700」用途:ゴルフ場フェアウェイ等の清掃管理作業用「製品名:IHIシバウラブランド乗用スイーパ SS1700」
用途:ゴルフ場フェアウェイ等の清掃管理作業用
創業90余年の老舗メーカー
同社は現社長の父親が1918年に犂など畜力農具を製造・販売する仕事を始め、農協などに販路を拡大、やがて農作業の機械化に伴い、各種動力運搬車両を製造するようになる。以来、230種以上の特許関連を取得、出荷先は国内では全農との取引をはじめヤンマー、三菱農機、IHIシバウラ、やまびこ(共立)などの大手メーカーへのOEM製品供給を行う一方、欧州各国にも輸出され、同社の製品は新しい農業への魅力を光らせる。黄綬褒章や旭日雙光章、各種の賞状や額が並ぶ重厚な応接室(ちなみに、この会社に社長室はない)で傘寿を迎えられたとは思えないほど若々しい河島 則社長にお会いした。以下、適宜要約。
主力製品の畑や果樹向けの農業機械は、季節変動が少なく産地や品種によっても多種多様で、事業としては理想的な業種である。極端な場合では同じ品種でも産地ごとに仕様堅実な農業・畜産機械業界が異なってくるため同一機種でもシリーズが増える。現在ラインナップしている農業機械はベースとなるモデルだけで40〜50機種。これにサイズやエンジンの種類といった細かな仕様変更を加えたシリーズを加えると何百機種にもなる。これらにOEMで大手農業機械メーカーに提供している製品が加わるので、生産機種数は膨大になっている。
1機種で使用する板金は200〜300点
LC-3015F1NTの前に立つ今年で80歳を迎えた河島隆則社長LC-3015F1NTの前に立つ今年で80歳を迎えた河島隆則社長
2年ほど前からは農業用機械についても排ガス規制が強化された影響で更新需要が増加している。生産の90%は受注生産で、生産は1日1機種20〜30台ロット位が平均。広大なゴルフ場の芝生を清掃する自走式乗用スイーパーのような大型の機械は月産5〜10台、小型運搬車などは月産500〜600台程度となっている。製品の部品構成は、タイヤやクローラー、エンジンといった購入品が7割、同社や同社のサプライヤーから調達する加工品が3割で、1機種に使用される部品点数は平均200〜300点、多いものでは600点くらい。登録されている部品数は7万点弱で、このうち年間に手配されるものは5,000〜6,000点程度となっている。
企画、開発、製造に徹する
新商品開発のためのマーケティングから商品企画、開発、製造をすべて同社が行い、企画したOEM製品を大手農業機械メーカーや商社に提供している。「当社のような中小企業が製造から販売、さらには輸出部門まで持って事業を展開するのは大変です。そこで当社は製造に徹し、販売は大手にお任せしています」と河島社長はにこやかに語り始める。...

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