〜特集「MF-Tokyo 2009(プレス・板金・フォーミング展)」〜
―板金市場のトレンドを探る―

鍛圧・板金機械の専門見本市、加工技術主体の展示会へ
“Green&Digital”の新産業を目指す


図1 「MF-Tokyo 2009」コンセプト図(運営事務局提供)図1 「MF-Tokyo 2009」コンセプト(運営事務局提供)
「MF-Tokyo2009」開催の意義
10月14日から17日までの4日間、東京ビッグサイト西1・2ホールを会場に、(社)日本鍛圧機械工業会(以下、日鍛工)・日刊工業新聞社の共催で「MF-Tokyo 2009(プレス・板金・フォーミング展)」が開催される(図1)。同展は今回が第1回目の開催となる。
海外では、遇数年にドイツ・ハノーバーメッセ会場で開催されるEuroBLECH(国際板金加工見本市)、奇数年にアメリカで開催されるFABTECH International(国際板金機械見本市)の両展示会に世界の鍛圧・板金機械メーカーが多数出展し、すでに40年近い歴史がある。しかしながら、日本では鍛圧・板金機械に特化した専門見本市がなく、これまでは(社)日本工作機械工業会が奇数年に東京ビッグサイトで開催するJIMTOF(日本国際工作機械見本市)の鍛圧・板金機械関連コーナーに日鍛工加盟企業が関連機械を出展するのが唯一の出展機会だった。
JIMTOFは、以前は日鍛工も加盟していた工作機械関連団体協議会が共催者だったので参加すること自体に工業会活動の一環としての意義があった。しかし、10年ほど前からJIMTOFの主催が日本工作機械工業会単独となり、工作機械中心の運営に変わっていったことから、鍛圧・板金機械メーカーの間では鍛圧・板金機械に特化した欧米のような国際的な専門見本市を日鍛工主催で開催したいという要望が生まれるようになった。こうした中、日鍛工が設立60周年を機に、2009年4月1日、一般社団法人へ移行することから、国際的な専門見本市を2年に1度(奇数年)開催することが決議され、「MFTokyo2009」開催の運びとなった。
世界同時不況の重しをチャンスに
表2 国内におけるデータセンター市場の実績と推移予想((株)富士キメラ総研「データセンタビジネス市場調査総覧2009年版」より)表2 国内におけるデータセンター市場の実績と推移予想((株)富士キメラ総研「データセンタビジネス市場調査総覧2009年版」より)
ところが開催に水を差したのがアメリカ発の金融危機に伴う世界同時不況。これによって輸送機械をはじめ、一般機械、電気機械など鍛圧・板金機械の主要ユーザーである関連業界の生産が大幅に縮小、設備投資も大きく減額され、設備財である鍛圧・板金機械の受注・出荷額は前年比7割以上の大幅な減少となり、関連メーカーの経営を圧迫、開催そのものが危ぶまれる状況となった。しかし、世界同時不況はこれまでのリーディング産業であった輸送機械、一般機械、電気機械業界の設備計画に大きな影響を及ぼす一方で、低炭素社会の実現をテコに新たな新産業を育むといったパラダイムシフトを産業界にもたらすようになった。その結果、金型を使った転写加工や、非接触加工であるレーザ加工などを中心とする鍛圧・板金機械業界にとっては、パラダイムシフトに伴う省エネ加工技術への更新・置換という大きなチャンスを得ることになった。
環境生産性や環境品質を提案
「MF-Tokyo 2009」は、企画当初から環境負荷低減を目指し、環境生産性や環境品質に優れた加工技術である鍛圧・板金加工技術を広く産業界にPRすることを第一の目的としている。心配された出展者のキャンセルは一部に発生したものの、工業会会員の多くが出展するとともに、アマダ、コマツ、トルンプといった鍛圧・板金機械のトップメーカーが大規模なブースを確保して最新鋭技術を出展するなど、モノづくりのパラダイムシフトに対応する鍛圧・板金機械を広くPRすることになる。...

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