そこが聞きたい - 税の話

定期同額給与
役員報酬を期中半ばで一部カットした場合の税務上の取り扱いについて

税理士 毛塚勝貴



経営の状況が著しく悪化したに至らない場合の減額改定経営の状況が著しく悪化したに至らない場合の減額改定
役員報酬を法人の経費として損金に算入するためには、同一事業年度内で毎月同額を計上しなければなりません。このような「その支給時期が1カ月以下の一定の期間ごとである給与で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの」を、税務上「定期同額給与」といいます。
従って会計期間の半ばで役員報酬を増額した場合、その上乗せされた部分の金額は「定期同額給与」に該当せず、これは利益操作を目的とした行為と見なされます。そして、この増額された部分の金額は、法人の経費として否認され、法人所得の計算上損金に算入されません。もちろん会計期間の期首から3カ月以内に、定時株主総会等で増額改定された後の定額給与は「定期同額給与」に該当し、法人の経費として損金に算入されます。

ところで、昨今の景況悪化により、数多くの企業の業績が悪化しています。そこで会社の業績悪化を少しでも食い止めるために、各社様々な改善策を施していますが、役員報酬の減額もその1つでしょう。なるほどテレビの報道や新聞紙上で、あるいは取引先の会社で役員報酬のカットや返上の話はよく聞きます。しかし安易な会計期間半ばにおける役員報酬の減額改定には、注意を要さなければなりません。...

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