〜板金業界の次世代を担うJMC 修了生- 第4回〜

父の鉄工所から伯父の板金企業の後継者に
“昔ながら”の特色を守りながらIT導入にも意欲




加藤信之社長加藤信之社長
父の鉄工所を再建・清算して(株)ナカツーに入社
「バブル崩壊の影響で、父の鉄工所は多額の売掛金が未払いになりました。歳を重ね、体力が衰えてきた父の手助けをしたいという一心で、父の会社に入社することを決断しました」と加藤社長は振り返る。
「従業員3〜4人の小さな鉄工所だったので、社長も現場仕事をこなさなければなりません。1件20〜30トン規模の仕事を受け、社内で鉄骨加工・建築金物などの製作を行い、現場へ搬入、ガス切断機やウェルダーを使用して取り付けを行います。重量物を扱ううえに、鉄骨の組み立てや3〜4階建ての梁に登っての高所作業も多く、高齢になりつつある父に、危険な現場仕事をいつまでも続けさせるわけにはいかない。幕引きのタイミングは入社した当時からいつも頭のどこかで考えていました」。
現場作業、資金繰り、得意先との交渉などに奔走して借金を完済、14年間勤めた末、伯父である加藤隆久会長(当時社長)の誘いに応じるかたちで父の鉄工所を清算し、2005年4月、(株)ナカツーに入社した。
現場で従業員と談笑する加藤社長現場で従業員と談笑する加藤社長
初めての板金加工業
鉄工所の仕事と精密板金加工は、基本的なつくり方や考え方がまるでちがっている。しかし、鉄工所時代、意匠に関わる細かい製品の加工から3〜4階建ての鉄骨加工と施工まで幅広く経験していた加藤社長は、板金加工に抵抗があったわけではないという。入社直後の3カ月間は現場に入り、ブランク工程以降のバリ取りからの前段取り、曲げ加工、溶接・組立、仕上げまでの仕事を覚えた。その後は事務所に上がり、社長に就任するまで営業を担当した。
JMCでの収穫―知識よりも意識
入社後丸2年が経過した2007年4月、加藤会長の勧めでJMC(Junior Management College)第100期を 受講した。「会長は、以前からJMCのことを知っていて、入社して一段落したら受講させようと考えてくれていたようです。経理をはじめとする細かい経営に関するノウハウは父の鉄工所に勤めていた14年間に経験していたので、すでに知っている内容が多かった。ですから、JMCでの最大の 収穫は、学んだ内容以上に同窓生や講師の方々と触れ合い、みなさんの気持ちや心構えと接したこと。知識的なものではなく、意識的なものです。後継者たちはみんな、先代の会社を継いで自分の会社を良くしていこうという強い意思があって、会社 を引っ張っていくために一生懸命勉強している。そういう姿勢に触れられたこと、その輪の中に自分も入っていること自体が刺激的でしたし、得るものがありました」と加藤社長は語る。...

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