〜特集「どうなる日本の板金加工業」〜

緊急座談会 日本の板金加工業はどこへ行く
日本品質−“Made by Japan”の根底にある
思いやりのあるモノづくりの追求




株式会社平出精密 平出正彦社長
株式会社平出精密 平出正彦社長
株式会社アクシス 古田陽介課長
株式会社アクシス 古田陽介課長
6月24日から26日までの3日間、東京ビッグサイトで第13回機械要素技術展が開催された。同時開催の設計・製造ソリューション展や産業用バーチャルリアイティ展、バリ取り・表面仕上げフェアなどと併せ、モノづくりに関連した様々な分野の最新テクノロジーが一同に会し、多くの来場者でにぎわった。世界同時不況の影響で製造業の需給ギャップが45兆円と言われる中、製造業は半年以上にわたる大幅な減産で在庫調整を行う一方、雇用調整による損益分岐点比率の引き下げなどで、急激な企業環境の変化に対応しようとしている。
業界を取り巻くパラダイムシフトが起きている中で、業界そのものが今後どうなっていくのか、自分たちの企業はどこを目指していけば良いのか、苦渋の毎日が続いているのが実態である。そんな中、市場開拓や新産業と言われる新しいパラダイムを探査することなどを目的に、全国から20社以上の板金加工企業がこの展示会に出展、自社で開発した製品や生産技術のPRを行った。
そこで編集部では、これからの板金業界の見通しや日本の板金業界はどこへ向かっていけば良いのかを議論していただくため、会期中に、一部の出展者にビッグサイト会議場に集まっていただき、座談会を企画した。
司会 これからの板金業界の見通しと、「機械要素技術展」に出展された目的と狙いを聞かせてください。
株式会社池田機工 池田則正社長
株式会社池田機工 池田則正社長
株式会社池田機工 池田真理子常務
株式会社池田機工 池田真理子常務
産業のベースとしての板金
平出 物量的に、もう昔には戻らないと思います。大きなパラダイムシフトが起こったので、これからの仕事は7掛け程度にまでしか回復しないと考えるのが妥当です。世界を見回すと、中国経済は思ったほど落ち込んでいない。だからここへ来て、また、中国へ出て行くという声が聞かれるようになっています。株価の動向は半年先を見ていると言われています。平均株価が7,000円まで下がって、ここへ来て9,000円台に戻ってきました。するとこれから半年先の10月から12月頃までには実体経済も少しずつ回復していくのではないかと思います。この展示会はもともと設計・製造ソリューション展と言われ、『設計』のくくりではないが設計してつくった部品に板金があります、ということで最初からこの展示会には出展しております。今では機械要素技術展の規模が大きくなり、まさしく日本のモノづくりの層の厚さ・広さというものを象徴しています。本日、お集まりのみなさまも、持っている設備は同じようなものでも、やっている仕事は異なっています。もともと板金というのはベース産業で、そこから宇宙へ行くか鉄道へ行くかというように、いろいろなところへ向かっていくことができます。すべての産業のベースとして使われている板金加工技術はすばらしいと思っています。
株式会社小林製作所 小林靖典社長
株式会社小林製作所 小林靖典社長
株式会社小林製作所 黒川正枝室長
株式会社小林製作所 黒川正枝室長
板金単独では厳しい
池田 当社は3月頃から仕事が落ち始め、6月頃から動き始めるということでしたが、大きくは改善していません。9月頃までには液晶関連やATM関連が立ち上がってくるという話が出ていましたが、過ぎてしまえば先延ばしというのが実態です。年内に回復したとしても需給のバランスが大きく崩れていますので、7割、もしくは6割くらいしか戻らないかもしれません。これまでに導入した設備はどれも高精度・高能率な機械ですから、従来よりも2〜3割生産性が上がっている。...

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