関東圏に生産拠点を移す大手スチール家具メーカー
空間設計のソリューションプロバイダーに変貌



変わる業界イメージ
スチール家具の生産台数(出典・経済産業省統計)スチール家具の生産台数(出典・経済産業省統計)
 スチール家具は大きく「パブリック(学校、公共施設、ホールや鉄道車両の椅子)」「オフィス(オフィス、病院、研究施設の家具)」「ストア(コンビニ、スーパー、デパートといった商業施設の棚など)」の3つのアイテムがあり、これらに対して各種家具が製作される。最近では家具にとどまらず、空間設計を含めたオフィスづくりのための移転・改装サービスの総合ソリューションを提案するようになっている。

岡村製作所の変化
オフィス用椅子(イトーキ)オフィス用椅子(イトーキ)
 スチール家具のトップメーカー、岡村製作所の事業内容を同社のホームページより抜粋して紹介する。
 「スチール家具全般の製造・販売/商品陳列機器その他の製造・販売/事務所の環境向上と事務・生産効率向上に関する情報の提供とこれに関連する機器の製造・販売など」。
 「オフィスからワークプレイスへ。近年のオフィスには情報技術やマルチメディア化の発展に伴う様々なソリューションが求められています。オカムラはこうしたニーズに応えるため、多彩なハードとソフトで新しいワークスタイルを重視した魅力あるワークプレイスを創造していきます」。
 「創業以来『人間の環境づくり』をテーマに培ってきたソフト・ハードのノウハウをベースにして、一人一人が『豊かさを実感』できる環境アメニティの実現を目指しています。(中略) 金融機関、オフィスビル、商業施設、研究施設医療機関、原子力施設など、あらゆる分野の安全と財産を守るためハイテク機器とのシステム化により各種プロテクター、履歴管理システム、入退室管理システム、防犯カメラシステム、水害対策としての防水・防潮設備など豊富な品揃えでトータルセキュリティシステムを実現いたします(後略)」。
 この文章からも理解できるように、スチール家具メーカーの事業範囲は今や単なる家具の製造・販売にとどまらず、大きく変貌している。

スチール家具業界の出荷額は4,777億円
 経済産業省の工業統計―平成18年までの工業統計(図1、図2)からスチール家具業界の実態を見ると、平成18年時点で全国でスチール家具を製造する事業所は974社、それらの年間出荷額は4,777億円となっている。平成12年の事業所数が957社とほぼ同等であったにもかかわらず、出荷額では5,925億円と1,200億円以上も上回っていた。その後、事業所数、出荷額ともに前年度割れするようになり、平成17年、18年で若干の回復の兆しが見られるようになった。...

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