〜特集:「LC-F1NTの加工例拡大」〜

スチール家具メーカーの設計と結びつく
時代のスピードを味わえるLC-3015F1NT

(株)三陽製作所



水村 滋代表取締役専務(右)と白畑武司生産課長(左)水村 滋代表取締役専務(右)と白畑武司生産課長(左)
 農業用機械および小型エンジン、スチール家具関係部品のプレス加工・組み立て、弱電関係、建築板金など約20社の顧客を持つ同社の設立は昭和28年。波多野社長、水村専務の父親たちが(有)三陽製作所として創業、昭和45年には株式改組して現在の会社組織が誕生した。
 先代たちが人脈や営業によって勝ち取ってきた仕事は防除機械、草刈機械などを製造する農業機械メーカーと、創業当時から取引してきたスチール家具メーカーの仕事が中心。現在では農業機械関連の仕事は売上の10%程度になっており、スチール家具の仕事が受注の60%を占めるまでになっている。NC旋盤、マシニングセンターによる機械加工からフライス盤、ワイヤー放電加工機、平面研削盤などを使う金型加工、成形加工用の大型プレスからメカ式プレスによる絞り加工・打ち抜き加工、そしてシャーリング、パンチプレス、レーザマシン、ベンディングマシンを備えた板金加工設備、さらにスチール家具、とりわけパイプ製の椅子などの製作に欠かせないパイプ加工設備と加工技術を持つ。また、同社にない加工設備や加工技術に関しては横浜市内の異業種グループのネットワークですべての加工要素を備えている。中には開発・設計・製造された製品の取扱説明書や製品カタログを企画・印刷・製本する企業も参加しているので、新製品の企画から販売までの全工程にわたってのサポートができる企業グループを構成するまでになっている。

二代目たちの時代
AP100で作成したパイプ製の椅子を保持する取り付け金具の立体姿図AP100で作成したパイプ製の椅子を保持する取り付け金具の立体姿図
 波多野社長は営業部門担当、水村専務は製造と、ともに平成7年に親たちから会社を引き継ぎ、二代目として会社を盛り立てている。創業当時からの発注元であるスチールメーカーは現在製造拠点の選択と集中を図り、神奈川県、茨城県内に生産拠点を集約しようとしているが、茨城県内の工場から100km以上も離れているのに、同社へは発注依頼書が定期的に来ている。それは、同社が開発部門から発注される試作を大半受注しているからだ。そのため、発注元で採用している3次元CAD設計に対応するため、早くから3次元CADに取り組み金型設計に関しては5台の金型設計用の3次元CADを導入し、対応を行うまでになっている。設計と深く結びつくことで、新製品の企画段階から加工のしやすさ、組み立てのしやすさをはじめとした工法提案を行い、提言した意見が反映されることもたびたびある。すると試作段階で作成した仮型で本型も素早く製作できるので量産に関しても同社へ発注される確率が高くなる。...

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