〜特集:「F1の加工例拡大」〜

マクロの経済効果が大きい通信機械産業
売上の半分は移動体通信が占める



2007年の出荷額は4兆2千億円
図1 移動体通信の生産推移図1 移動体通信の生産推移
 板金業界の主力発注元である産業のひとつに通信機械業界がある。通信機械はラジオやテレビの放送装置、航空機や船舶のレーダー装置、トランシーバーやアマチュア無線の交信装置など多岐にわたるが、現在、生産割合の多くを占めているのが移動通信装置、主に携帯電話である。経済産業省の「平成16年工業統計表」によると、「無線通信機械器具製造業」の事業所数は387(従業者4名以上)、従業者数は52,588人、年間出荷額は約3兆6,469億円となっている。一方、情報通信ネットワーク産業協会(以下、CIAJ)がまとめた「2007年度版通信機器中期需要予測」によると、2007年度の通信機器市場は、4兆2,181億円、前年度比5.0%減となっている。2008〜2010年度は、携帯電話の買い替えサイクルの長期化などにより減少するものの、2011年度以降は携帯電話機の持ち直しによって徐々に回復し、2012年度は総額3兆8,887億円、2006年度比12.4%減になると予測されている。

携帯電話の動向が鍵
図2 移動体通信基地局通信装置の生産推移図2 移動体通信基地局通信装置の生産推移
 日本の通信機械市場は、2002年度のITバブル崩壊による落ち込みから、インターネット関連機器、携帯電話の伸びに支えられて、2003年度以降は回復基調が続いていた。2006年度も携帯電話の※1MNPなどの開始されたことにより、通信キャリア間の競争が激化し、端末や基地局の調達が増加したことや固定通信装置が引き続き堅調に推移したことから、4兆4,378億円と前年度比1.9%の増加となった。今では、通信機械市場の半分を占める携帯電話の動向により、市場全体としての増減が大きく左右されるようになっている。2007年度は、※2FTTHや※3NGN構築に向けた光アクセス機器、ルーター・LANスイッチが引き続き堅調に増加した。携帯電話はワンセグなど高付加機能付や、シニア向けなどユーザーセグメントに特化した端末の需要が拡大し、台数は増加するものの単価下落などを受け、金額は減少している。2008年度以降については、次世代バックボーン構築による広帯域でのIPネットワーク関連機器や光通信機器需要は、順調に伸張すると思われる。...

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