〜特集:「製造からの3次元CAD」〜

設計からの3次元から、製造からの3次元へ
3次元CADと機械設計7つ道具



変革-プロセスイノベーション
SheetWorksでモデリングされた製品(ワールド山内)SheetWorksでモデリングされた製品(ワールド山内)
 厳しい海外勢との競争の中、これからの“モノづくり”で勝ち残るためには、「開発・製造期間の大幅削減による短納期化」「低コスト化」「高付加価値製品化」等への対応が急務であり、それらの実現には“3次元CADデータ”の有効活用、すなわち3次元モノづくりが必要不可欠だといわれている。設計を3次元化することで得られる3次元CADデータは、企業が作っている製品=“モノ”を変えるだけでなく、“人”や“会社”全体をも大きく変える、プロセスイノベーションにつながる大きなパワーを秘めている。反面、3次元CADが産業界で活用されて久しい。しかし、いまだに導入を開始したものの、初期の導入でつまずいて運用は決してスムーズではないユーザーも数多く見られている。中には3次元CADを利用した製品開発途中で利用を断念するユーザーもある。導入を断念せざるを得なかった事情としては、ハードウエアのパフォーマンスやソフトウエアの能力の不足、データ管理面での知識不足、設計部門以外での3次元CADへの対応の遅れ、製造部門や部品加工先の対応の遅れなども指摘されている。2次元から3次元への大幅な環境変化の場合、「導入直後には効果がすぐに出ない」こともある。しかし、軌道に乗れば、2次元CAD環境では困難だった“試作レス”での設計/開発を実現することができる。
スコア評価スコア評価
これまでの2次元CADを使った環境では、設計・開発部門と製造部門、営業部門、サービス部門、更に部品協力サプライヤーを巻き込んだデザインレビュー、デザイン承認のたびに試作図面に基づいた試作作成が必要だった。しかし、3次元CADの場合は、3次元データを生かした実際の試作に近い詳細なデジタルモックアップによるデザインレビューによって、関係部門に対する事前確認が容易になるために、後戻りしない設計が可能になり、設計品質の向上、開発期間の短縮、コストダウンが実現できると言われている。実際に3次元化への取り組みとして、大手企業では大規模な開発環境の導入によって、トップダウン型の社内普及が行われるケースが多いが、必ずしも成功するとは限らない。これまでの例では実務担当の設計/開発担当者が中心となったボトムアップで社内普及を行なった方が時間はかかっても成功する場合が多かった。普及に向けた提案やマニュアル/ルール作成、製造部門、サプライヤーなど関係部門に対する支援組織運営などを設計/開発担当者が行ない、関係する部署での導入/利用の支援や教育/啓蒙などを行うことが普及を手助けする要因となっている。...

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