〜特集:「転換期を迎えた板金業界の板金部材調達」〜

職人の手技と最先端の技術革新を融合
ITを活用し、アマダはビジネスパートナーと位置づける

西垣金属工業(株)



創業84年
西垣 亮社長西垣 亮社長
 大正13年、板金ヘラ絞り出し作業の開発とプレス成形による深絞り加工工場第1号として京都に誕生して84年、«西垣金属工業はヘラ絞り加工»といわれる独自の技術を確立、常に高度な職人の手技と、最先端の技術革新に挑んできた。祖父の代では島津製作所の航空機関係に使われるアルミ製のシッピングキャップのヘラ絞り加工で高い評価を得、父親の代ではプレスと絞り加工の技術を深耕させてきた。そして、現社長の代になって業界からは技術で顕彰されるようになり、歴史に恥じないモノづくりをデジタルの支援を得て加速させている。沿革を見ると、昭和23年に株式改組、昭和39年には現在の本社工場がある久世工業団地に進出、ヘラ絞り、深絞り、板金加工とあらゆる金属総合加工工場となっていった。昭和54年、5年間の外部での修行を終え27歳の若さで同社へ入社した西垣社長は同社の固有技術である金属加工を座学で学ぶ。当時すでに島津製作所から発注されるロットサイズは小さくなってきており、将来的には大量生産の仕事は次第に日本から消えると予測。そこで、固有技術としてヘラ絞りや深絞り加工技術は残すものの、生産の主力としてはプレス板金の試作をはじめとした多品種少量生産に対応できる板金加工にシフトするようになった。57年にアマダからタレットパンチプレスVELA 2を導入、精密板金加工の機械化が進んでいく。

平成元年3代目社長に就任
YAGレーザ溶接ロボットYLR-15002のティーチング作業をする入社4年目の古関智広さん。月間70時間から120時間稼働する。YAGレーザ溶接ロボットYLR-15002のティーチング作業をする入社4年目の古関智広さん。月間70時間から120時間稼働する。
Dr.ABE_Bendで自動生成した曲げデータで加工シミュレーションを行うDr.ABE_Bendで自動生成した曲げデータで加工シミュレーションを行う
 「私が3代目社長に就任したのが20年前の平成元年、36歳の時でした。社長就任にあたって私が実行したのが設備投資と人材«財»確保でした。企業が成長するためには設備力と人材«財»が重要です。社長就任当時は先代を含めても社員の数は10名程度で、親父のカオで仕事を繋いでいる状態でした。カオに頼った仕事では生き残れない、他社にはない当社の特徴を持たなければ」と考えるようになった。その頃から、1業種1社と定め、狭い京都で摩擦を少なくするよう配慮した。また、絞り加工ではオンリーワンであってもいろいろな業種から試作が来ると協力工場に頼んでやってもらわなければならず、上記の決意を実践するためにも社内ノウハウを蓄積させるためには自分の会社でやらないと技術は残らないと判断、«試作もできる会社に»、が目標となった。当時の外注比率は70%、それが今では内製化率70%に逆転した。...

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