〜特集:「FPD製造装置業界の板金部材調達」〜

パネル生産メーカーの大型投資で
製造装置の生産は2009年までは上昇する



オリンピック特需で大型化進む
5mのY軸移動ができる1kWYAGレーザ溶接ロボットYLR-15002でFPD装置部材を突き合わせ溶接で行う。矯正ジグで隙間はゼロで管理する5mのY軸移動ができる1kWYAGレーザ溶接ロボットYLR-15002でFPD装置部材を突き合わせ溶接で行う。矯正ジグで隙間はゼロで管理する
 液晶テレビやプラズマテレビなどの薄型に使われるFPD(フラットパネルディスプレイ)は様々な機器に搭載され、日常生活では欠かすことのできない存在としてその市場は大きく拡大している。特に、2008年の北京オリンピック開催を目前に控えて、薄型テレビの市場が世界的に拡大している。それに伴いFPD需要はモニターやテレビを中心に台数および面積の伸びが続いており、市場の拡大が続いている。FPD産業の今後の動向としては、2008年の北京オリンピック、2009年米国を初めとするアナログ放送の停波による特需、新興国BRICsへの需要拡大等により、引き続き成長が続くものと見込まれている。大型テレビ向けを中心とするFPD産業は2008年後半以降の需要増が予想され、生産能力不足も懸念されている。その結果、2008年後半から2009年は、FPDメーカーの製造装置に対する追加投資が期待されFPD向け製造装置市場の成長が見込まれている。
2007年(暦年)の日本製FPD製造装置販売額2007年(暦年)の日本製FPD製造装置販売額
 FPDメーカーの製造装置に対する設備投資は2002年から右肩上がりに伸びた。しかし、2004年後半からは過剰設備による供給過剰に陥りFPD価格は値下がりする傾向を示したが、高レベルの設備投資は2006年中頃まで続けられた。特にパネルの大型化が進む中で2850ミリ×3050ミリと畳5枚分のサイズを持つG10のパネル生産が2010年には始まる。G8(1500ミリ×1800ミリ)の約1.6倍で、60インチクラスのパネルが6枚、50インチは8枚、40インチは15枚分取れ、大型FPDの生産をさらに効率化することができる。反面、こうしたパネルの大型化によって設備投資額は年とともに莫大となっている。それらに付随してパネルの低価格化が進み、2006年にはFPDメーカーの大半がパネル生産事業で赤字に転落し、それによって2007年の設備投資は半減した。こうした中で旺盛なFPD需要に対応するためにFPD業界では上位メーカーと下位メーカーが国際的な合従連衡を進め、選択と集中によってパネル事業を再構築する動きが顕著になっていった。それとともに、2007年4月頃からモニターや32型テレビパネルが供給不足により、値上がりに転じ、2007年第三四半期頃からFPD事業の収益構造が改善するメーカーも出てきた。そこで上位メーカーを中心に設備投資を増強する傾向が強まっていった。...

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