〜特集:「建設機械業界の板金部材調達」〜

2002年から成長路線をひた走る

建機の薄板板金部材をJIT生産

(株)森下鉄工所



各種カバーと艤装部品を加工
森下兼信副社長森下兼信副社長
 国内建機メーカーとして売上高2位の日立建機は昭和44年に操業した土浦工場をマザー工場として油圧ショベルの生産を行っているが、建機組立に必要な部材は外部サプライ ヤーに協力依頼している。現在同社のサプライヤーは「ときわ会」という協力会を結成、発注元である日立建機の調達本部と連携してQ・C・Dに対応した部材供給を行っている。そのときわ会の中には1.0mmから3.2mmまでの薄板を材料にエンジンカバーをはじめとした各種カバー、キャブ内部に使われる艤装部材の板金加工を行う企業も含まれている。こうした企業の中でエンジン仕切りカバー、冷熱機カバー、コンソールボックス、各種ブラケット類を部材加工から溶接、組立、下塗りなどの塗装処理を行い、サブアッシーした状態で納入を行っているのが森下鉄工所である。昭和18年に日立市内で創業して以来、地元企業である日立グループの建設機械や発電機械を中心に部品単位からサブアッシー製品までの製造を中心に営業してきた。「高い技術と丁寧な対応」を心がけ、パンチプレスによる型抜きから、レーザ建設機械業界の板金部材調達加工、曲げ加工、スポット溶接、アーク溶接、下塗り塗装、組立に至るまで一貫した作業を行ってきた。現在は日立建機向けの仕事が絶好調で建機向けの部材加工が中心の大橋工場では生産の9割余が建機関連となっている。

購買者と供給者を結ぶ情報ネッ トワーク「シナプス」
EM-2510NTなどが並ぶ工場の様子EM-2510NTなどが並ぶ工場の様子
 大橋工場での仕事の流れは日立建 機土浦工場で運用する購買者と供給 者が共有化できる情報とネットワー ク「シナプス」を通じて入ってくる。
 その発注情報を自社開発した生産管理システムで受注情報に変換して負荷の山積を行う。現在「シナプス」では6カ月前に日立建機の生産計画が公開され1カ月前に計画に基づいて内示が出され、10日前に確定発注が行われる。同社ではこの受注情報に基づき出荷の5日前にプログラム手配を行い4日前にブランク加工、3日前に曲げ加工、2日前に溶接・下塗り塗装・ウレタンや金具などをパッキングする組立を行い5日目に出荷する日程を組む。工程ごとに1日単位のバッチ生産方式でトコロテンのように次工程へ仕事を押し出す。モデルチェンジの時期を除くと受注の90%以上がリピート生産、ただし毎日流れる製品のアイテム数は図番で500件以上。これに子部品などが含まれると毎日流れる加工品目数は建機関連だけで800〜1,000件あまりとなっている。品目ごとのロット数はライン生産する機種と大型、超大型と呼ばれる機種によって異なってくる。それぞれの機種に共通して使われる共通部材ともなると月間のロット数が数百になるものもある。1日のロット数は最大でも30台くらいで、受注したアイテムは5日間のリードタイムでバッチ生産が行われる。工程間には1日単位の物量でバッファーができるが、それ以外の無駄な仕掛品はなく、基本的には必要な時に必要な品物が、必要な数だけ作られるJIT生産が踏襲されている。同社がJIT生産システムを構築するまでには日立建機の改善チームによる指導が大きな力となっている。...

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