〜特集:「建設機械業界の板金部材調達」〜

新中期経営計画
「創 2010−For The New Stage」をスタート

「生産能力がシェアーを決める」-大路線が続く

日立建機(株)土浦工場



景気循環の振幅が大きい建機業界
曲げ加工するブランク材と曲げ終了後のワークを回転式のパレットに載せて管理する曲げ加工するブランク材と曲げ終了後のワークを回転式のパレットに載せて管理する

徳川義和執行役生産本部長徳川義和執行役生産本部長
 建設機械業界は2002年をボトムにして、その後はV字回復で生産を拡大している。BRICsをはじめとした新興市場で、インフラ整備を行うために建機需要が旺盛なために輸出が大きく伸びており、国内建機メーカーの輸出比率は7割を超えるまでになっている。反面、バブル崩壊によって1990年11月から93年12月までの3年間で生産高は▲39.5%減少。また、97年1月から98年11月までの約2年間でも▲39.2%減となっている。一方、バブル景気の頃は約3年半の間に145.5%と大幅な成長を示すなど景気循環の振幅が大きな産業と考えられる。 それだけに今の生産の拡大が何時まで続くのかということが大きな課題になっている。こうした中で油圧ショベルを中心にコマツ、キャタピラーとほぼ横一線に並び、世界シェアーの一角を占め、建機全体で見ても世界の3位グループに位置づけられているのが日立建機である。最近のラジオ番組に出演した木川理二郎社長は「アメリカの市場はサブプライム問題で縮小したが、インド・中国・ヨーロッパ・ロシア・中近東・オーストラリア、つまりアメリカ以外の全世界で生産が追いつかない状況だから、アメリカの市場が多少冷え込もうと関係な い。国内も堅調に推移している。公共事業が減っていても、建機の需要は創造されていて、なお且つレンタル事業も伸びている。世界的に建機の生産が需要に追いつかない状況だ。そこで、「生産能力がシェアーを建設機械業界の板金部材調達決める」時代に対応するために積極的な設備投資をして拡大を強化する」と語っている。

グループ売上1兆円を目指す
溶接された部材溶接された部材

辻本雄一理事調達本部長辻本雄一理事調達本部長
  昨年4月、技術創造・需要創造を キーワードに、2011年3月期を最 終年度とする新・中期経営計画「創2010−For The New Stage」をスタートした。2010年度にグループ売上高1兆円達成を目指しているが、今の勢いで行けば2008年度にはこの目標を達成しそうな勢いである。売上は国内3割、海外7割、生産の国内外比率は5対5と均衡を保っている。しかし、日本で製造した製品のおよそ半分が輸出されているために3対7という割合となっている。 国内生産する部材は油圧機器等のキーパーツの大半と、キャブのようにデザイン性がある製品で精密プレス加工が必要となる製品に関しては金型の手配などを含め、今のところは日本で生産した方が優位性の高い基幹部品のため、全ての生産を海外へシフトするというところまでは考えていない。板金の薄モノ、厚モノに関しては現地化をどんどん進めている。そこでパートナー企業を含めた部材調達のネットワークや今後の部材生産、調達に関して同社生産本部長 徳川義和執行役と調達本部長である辻本雄一理事のお2人に話を伺った。...

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