〜特集:「航空機業界の板金調達」〜

航空宇宙品質マネジメントシステムが重要
Nadcap(特殊工程認証制度)がグローバルスタンダード



ISO9001をベースに作成された9100QMS
 航空機の部品は1つひとつが多くの人命を預かっている。その大切な部品を製作するにあたり、航空機品質規格のグローバルスタンダードが確立されている。航空宇宙産業では品質管理の基準として米国防総省のMIL規格が長い間使われていたが、1994年から始まった米軍の調達改革によりMIL規格体系の見直しが行われた。その結果、品質システム規格MIL-Q-9858Aが廃止され、代替規格としてISO9001が使われるようになった。しかし、ボーイング、エアバス等のプライムメーカーはそれぞれISO9001を補う事項をサプライヤーに要求していたが、これらを共通の要求事項として統一し、ISO9001の要求事項に追加する必要が生じてきた。このため、1998年に世界の主要な航空宇宙関係企業が互いの信頼に基づいて強力な協力体制を構築・維持することにより、価値創造の流れの全段階において品質の著しい改善とコストの削減を実現する活動を推進するために国際航空宇宙品質グループ(IAQG: International Aerospace Quality Group http://www.sjac.or.jp/jaqg/)を設立し、品質の向上とコストダウンを目的とする航空宇宙品質マネジメントシステムの国際統一規格(以下、9100 Q MSという)を制定した。
 9100 Q MS規格は、品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001に、航空宇宙製品の機能・性能及び安全性確保などに関する航空宇宙業界特有の要求事項を追加したものである。この規格は、日本ではJAQGが作成したJIS Q 9100、米国ではAS9100、ヨーロッパではEN9100として同じ様式と内容で発行されている。2005年は9100 Q MS規格に基づく審査登録制度に対する要求事項を定める規格(9104)が欧州、南北アメリカおよびアジア太平洋地区でいっせいに制定された。これまでに、国内約120事業所がJISQ9100の審査登録を受けている。JIS Q9100による審査登録結果は世界共通データベース(IAQG-OASIS)に登録され、これらの情報は国際的なマー ケットチャンスを獲得するために活用されている。

航空宇宙品質マネジメントシステム規格

品質に対する厳しいチェックが行われる
品質に対する厳しいチェックが行われる

 IAQGで制定した航空宇宙品質マネジメントシステム規格は、日本ではJIS Q 9100、米国ではAS9100、ヨーロッパではprEN9100として、同じ様式・内容で発行されている。
 規格の内容は、品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001に、信頼性及び安全性確保等に関する航空 宇宙業界特有の要求事項を追加したものである。...

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