〜視点〜

グローバルスタンダード



 11月に入ろうという10月27日の週末に沖縄沖で発生した台風が関東地方に接近し東京は大荒れの天 気となった。それにも関わらず千葉県・幕張で開催されていた東京モーターショーは開場1時間前には来場者が押し寄せ、雨風を凌いでいる様子が映し出された。フランクフルト、デトロイトと並び、世界三大モーターショーといわれてきた東京モーターショーだが今年はGMが出展を取りやめるなど、期待していた見学者には出鼻をくじかれる格好となってしまった。その一方、上海で行われるモーターショーには世界のメーカーがこぞって参加するなど、世界三大モーターショー開催も、今や東京に変わって中国・上海がその座を取って代わりそうな雲行きとなっている。
 国内の自動車市場も乗用車に関しては需要が一巡して久しい。しかも、最近発表される新型車はグローバルスタンダード車ということで3ナンバー仕様の車が多くなり、日本の道路事情や住宅事情を考えれば5ナンバーの小型車に対する要求が潜在的に高い消費者にはミスマッチな市場環境となっていることも一因となって、国内の自動車販売は前年比マイナスが続いている。既に国内自動車メーカーの年間生産台数(海外生産を含む)に占める国内販売台数は1/4にまで下がっている。それだけにメーカーは新車開発投資の回収を考えれば、1/4の国内市場向けよりもグローバルスタンダード車として海外市場を意識した新車開発にならざるを得ず、日本というローカルマーケットのみを考えた開発はできにくい環境となってきている。そのため、5ナンバーの小型車のニューモデルが少なくなって更新需要を停滞させている。
 ところで、自動車ばかりでなく日本が世界市場をリードする工作機械をはじめとした生産財の分野でも、最近は国内需要よりも海外需要の割合が増加、海外生産比率も上がっている。そうした中で各メーカーの開発コンセプトもグローバルスタンダードがキーワードとなっている。車ほど嗜好性の強い製品ではない工作機械だけに日本独自のニーズというものにこだわった開発が世界にどこまで通用するか、という中で、今後海外市場のニーズに対応した製品開発が増えることが考えられる。その際に、自動車の新車開発で見受けられる傾向が出ないとも限らない。もちろん、モノづくりに関しては日本品質が世界標準になったり、「カイゼン」「カンバン」などが世界標準語になるほど、日本のモノづくりニーズが高いレベルにあるだけに今後も日本発のグローバルスタンダード機が開発されていくという予見はある。その一方でモノづくりのインフラが未整備の新興マーケットに対しては新たな開発要素というものが出てくる可能性がある。最近、メーカーでは輸出した機械が今どこで使われているかをチェックできたり、不法な改善を加える場合にはそれを防止するための機構を内蔵するなど、これまでには考えられなかった機能を装備した製品が開発されてきているが、こうした新商品も日本市場向けでは考えられなかった製品である。その意味では、今後工作機械などの生産財も開発の※ビヘイビアがグローバルスタンダードというキーワードの中で変化する可能性もある。国内、海外と市場の変化が激しいだけにこれからの開発マインドが重要になっている。

※行動、行為