〜特集:「舶用機器業界の板金調達」〜

CAD/CAMシステムと板金加工ラインで
独自の生産システムを構築

株式会社日本無線電機サービス社豊浦製作所


5年先までの受注が埋まる造船業界

世界の新造船建造量は2000年から4年連続で3,000万総トン、04年、05年と4,000万総トンとなり06年には5,200万総トン、07年は6,000万総トン。建造量が5年で2倍に膨れ上がっているにも係わらず新造船受注量は2006年度が9,364万総ト
ン(英国ロイド調査)と、建造量を上回る大量受注が続いている。世界経済のグローバル化による造船需要が旺盛なことが好調の要因だ。すでに造船会社の手持ち工事量は3〜4年分となっており、新規の受注商談は2012年の船台枠の取り合いとなっている。こうした中で舶用配電盤や監視盤、舶用システムを設計製作する同社も船舶に搭載される舶用機器の受注が好調で、2010年までの受注枠が埋まっている。

船舶を制御する重要な機器

FBD3-1253NTにより長尺曲げが終了した製品の曲げ角度の測定
FBD3-1253NTにより長尺曲げが終了した製品の曲げ角度の測定

 同社が製造している舶用配電盤、監視盤などの制御機器は、船舶が安全、快適に航行するために重要な機器、製品である。そのため、構造設計においては電磁波や熱、振動対策などに対応し、徹底した製品設計やコスト・スケジュールコントロールが要求されるとともに、さらに、船舶の耐用年数である15〜20年間安定して稼働するための長期間に及ぶサポート体制が要求されている。大半の製品は受注生産で、同一造船所から同じ船形を10隻建造することになっていても各船で仕様が異なる場合があり、同社では1品1様生産が当たり前となっている。製品の品質を大きく左右する板金筐体は、創業以来一貫して部材の国内調達と社内生産を基本としている。このため、生産設備である板金加工設備は受注生産、多品種生産に対応するとともに汎用的でカスタム化にも対応できる板金加工ラインを追求してきた。

漁船から商船に転換
 昭和23年に神戸市内で創業、当初は漁船向けの無線機や魚群探知機を製造販売していた。戦後の食料難の中で漁船の建造がブームとなり、当時日本の代表的な漁業基地であった下関ならば漁船の受注活動に役立つとの判断で創業者の近藤高清現会長が本社を移転した。...

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