〜特集:「舶用機器業界の板金調達」〜

舶用配電盤・計装システム市場で2012年までに年商300億円を目指す
グローバル化に対応したベトナム工場が本格稼働

渦潮電機株式会社



EMZ-358NTに2棚x6段の材料棚を装備し、抜き、成形加工が終了するとブランキングシャーBLS-1010 切断、加工を行うようにライン編成している
EMZ-358NTに2棚x6段の材料棚を装備し、抜き、成形加工が終了するとブランキングシャーBLS-1010 切断、加工を行うようにライン編成している

 瀬戸内海は古くから海上輸送の道として重要な役割を占めていた。渦潮電機の本社工場はその要である来島海峡を望む今治市にある。この地は国内はもとより世界においても有数の海事都市で、日本の造船所として建造量トップの今治造船や新来島どっくなど国内有数の造船所の本社、工場がある。
 同社は創業者小田茂が来島海峡で操業する漁船に搭載する蓄電池の販売・充電を目的として昭和21年に渦潮電機商会を設立したのがはじまり。現在では海洋・陸上プラントの受配電、制御、監視機器システムの製造、工事、情報通信における各種ソフトウエア、ASP開発、マイクロコンピュータOEM製品等、計装機
器の製造、無線・レーダ等の工事、整備を主事業として国内はもとよりベトナムにも現地製造工場を立ち上げ、グローバル調達によるスピードアップとコスト競争力をつけてきている。手掛けた船は、世界の大海原を股にかけ、今、この刻も4000隻以上が航海している。
 昨年迎えた創業60周年を期に二代目社長小田道人司氏より引継ぎ三代目社長となった小田雅人氏に同社事業の現状を聞いた。

年間世界の新造受注は3000万総トン数

キャビネットの溶接組立工程
キャビネットの溶接組立工程

 同社は2001年に光律探求企業《光律探求企業とは電気の流れを作り、整え、磨く技術や製品、サービスを通して社会に貢献する企業》という企業理念を掲げた。コーポレートブランドの商標ビーマックはBeam-光、Metrical-調律、Alternative-新しい主流、Creation-創造の頭文字で、『光律の新しい主流の創造』という意味をもっていて、同社の技術・製品・サービスを総称しているオリジナル
ロゴマーク。
 日本の造船業を見ると、国内最大手の三菱重工業は2010年までに既存の造船所に400億円の投資を行ない、現在年間156万トンの建造能力を10%増やす計画を発表した。アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッドも建造能力の増強を計画、豪華客船からバラ積み船、LNGタンカー等の受注増を見込んでいる。すでに新造船の受注残は3年から4年にまで延びており造船業界では2012年ころまでは今のような活況が継続するといわれている。
 こうした造船業界の中で同社が製造する舶用機器は造船所からの注文と船主からのオーダーによって生産を開始する完全受注生産方式をとっている。韓国や中国の造船所からも受注が取れるという理由のひとつには日本製品の品質に与えられた高い評価が上げられる。高級船舶ほどジャパンブランドを指名される
ケースが高く、絶大な信用があるという。...

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