〜特集:「舶用機器業界の板金調達」〜

舶用鋼製ドア、ドア枠、窓枠を製造
造船ブームで受注は好調、設備も段階的に拡張

旭・スチール工業株式会社


知られざるドアや窓の気密性

EM-2510NT
EM-2510NT

 船舶では陸上と同じように乗組員が日常生活を安全、快適に過ごすために上級船員を除く一般船員は2名単位で個室を与えられている。船室では出入り口ドアとトイレ用ドア、2枚のドアがプライベートを確保している。また、船内には居住区や食堂、機関室や操舵室、貨物室など様々な機能に対応した部屋が作られており、隔壁には水密性が高い水密ドアや防火ドアなどが採用されている。船室の窓には耐熱性・防火性に優れたガラスがはめ込まれている。

国内で5社が市場参入
 船舶には陸上の共同住宅と同じようなドア、ドア枠、窓枠などが必要である。現在、国内には中・四国、九州に5社の舶用ドア、ドア枠、窓枠を製造する企業があり、陸上の鋼製建具メーカーと同じように板金で製作している。こうしたメーカーは以前は造船メーカーと直接取引きをしていたが、造船業界の業況変化が激
しく、受注単価の上下幅が大きくなるためバブル崩壊後は本船の艤装を行う内装メーカーとの取引に切り替えるようになっている。また、ドアや窓などの装備は住宅に例ればインテリア、エクステリア製品にあたり、施主である船主(オーナー)の意向がメーカー選定に反映される場合があり、艤装メーカーに対する営業活動とは別にオーナーへの直接的なプロモーションも必要となっている。海外のオーナーに対しては代理店、商社を通じて自社製品のPRを行うケースも見られはじめている。

1隻に平均100セットが出る

焼付け塗装ライン
焼付け塗装ライン

 船のトン数によって乗組員が決まり、商船では乗組員が35名であれば船室が最低20室は必要でここに40枚のドア・ドア枠が必要とされ、それ以外のドアを含めると通常は約100セットのドアが必要とされている。商船など、大きさにもよるが、三菱重工業が建造した『クリスタルハーモニー号』のような大型客船では3,000セットのドアが必要となる。しかし、最近は客船ブームが去り、しかも操船の自動化が進み、乗船員も減る傾向となっている。直近で受注する船舶では乗組員の減数により同じトン数の船で70セット程度まで削減されたケースも現れはじめた。...

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