〜INTERVIEW〜

環境共生加工システムや
マイクロ加工を研究

慶應義塾大学理工学部 システムデザイン工学科教授
工学博士 青山藤詞郎

 環境共生型加工システムの開発、流体軸受の最適設計、機能性材料の開発と応用、マイクロエンドミルによる切削加工など、生産加工分野を中心とした研究を展開しているのが慶応大学理工学部システムデザイン工学科の青山藤詞郎教授の研究室。

主な研究テーマ
 私の研究室では助教の柿沼康弘君と一緒に次のような研究を行っています。

1.ERゲルを用いた応用デバイスの開発
 ER流体(Electro-Rheological Fluid :ERF)は外部からの電場印加により、見かけの粘弾性が変化するエレクトロレオロジー効果(ER効果)を実現できる機能性流体です。しかし、ERFは時間経過に伴う粒子の沈降・凝集や、流体ゆえのシール構造が必要となるという問題点があります。そこで、これらを解決するため、ERFをゲル化したゲル構造ER流体(以後,ERG)を開発しました。ゲル化することにより粒子の分散安定性が向上し、ER効果が安定して発生することが確認されました。また、ERGにおけるER効果のメカニズムは、ERFにおける粒子鎖形形成論とは異なり、電場印加による界面での摩擦変化(ERG効果)によるものであることがわかりました。現在はこのゲル構造ER流体の開発・基礎特性評価および応用デバイス開発を行っています。

2.環境共生型加工システムの研究
 金属加工が始まった当初から、加工点に少量の油や水をかけて削ると、加工がスムーズに行われることが知られていました。しかし、省エネ、廃棄物レス、環境負荷低減により、持続的発展が求められる現在、切削液に対しても最少適量が求められています。そこで、昨今の環境対応意識の高まりから、社会ニーズとして切削油を使わないドライあるいは極微量の切削油しか使用しない、MQL(Minimum Quantity Lubrication;極微量潤滑)ニヤドライカッティングという加工方法が広く産業界で採用されるようになっています。...

つづきは本誌2007年11月号でご購読下さい。