〜特集:「鉄道車両の板金部材調達」〜

新幹線車両のアルミ製床板をレーザ加工
100種類以上の床板を加工

株式会社タシロ


アルミ合金製の車体の採用が増える
代表取締役 田城裕司社長  鉄道車両には鋼材が用いられ、鋼材は長期間使用すると腐食が進むため、腐食代を見込んで厚板を用いる必要があった。一方で輸送力の増強や経済性の面から軽量化が求められており、耐食性を備えたアルミ合金を使った車両が開発された。鉄の1/3の比重で鉄と同等の強度を持つアルミ合金は航空機では主流として使用されてきたが、鉄道車体材料としてはなかなか普及しなかった。理由はアルミ合金が高価であること、高度な加工技術が必要なため製造コストが上昇するという点。しかし、車体の構造物が鋼製の1/2の質量で製造できることで車両全体で10〜15%の軽量化を実現でき、コスト上昇以上に動力費を節減できるというメリットがあることから製造コストを下げるため合理的な構造とすることや製法について種々の工夫が行われることによって増加するようになった。特にアルミ合金部材を組み合わせた複雑な形状を一体型として押し出し、部品点数の削減と加工の省力化を進めることで、従来の鋼製車両で行われていた板を加工して部材を作る工法に比べて、大幅なコスト削減ができるようになった。アルミ材料メーカーと共同研究による大型押し出し形材の開発や製造技術の発達により、通勤車両や地下鉄車両をはじめ在来線の特急電車、新幹線車両にも採用されるようなっている。特に新幹線車両は長寿命・軽量化・メンテナンスフリーを考えアルミ合金製新幹線車両が全面採用されている。

ダブルスキン構造の大型押し出し形材を多用する
新幹線車両の床板のブランク材  700系新幹線車両では鋼体製造の簡素化と効率化を図ることによってイニシャルコストを低減したダブルスキン構造の大型押し出し形材が使用され、防音効果も兼ねそなえるようになり、後継のN700系をはじめ台湾新幹線や東北新幹線「はやて」をモデルに作られた中国の新型高速列車「弾丸」にも引き継がれるようになっている。ダブルスキン構造とは 車体を構成するために必要だった外板と骨組(柱や梁)を一体にまとめた構造で、トラス状の断面を持つアルミ合金の押し出し型材を溶接でつなぎ合わせて製作される。断面は2枚の板の間に斜めのリブが入ったような形状。利点としては、 ...

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