〜特集:「農業機械の板金部材調達」〜

設計者のイメージを板金で『見える化』
3次元データを核にした一気通貫のモノづくりを進める

井関農機株式会社砥部事業所



農業機械の総合専業メーカー
開発製造業務部工作室大野利幸室長、開発製造業務部工作室松岡義美組長、開発推進部鶴見幸広技士補  1936 年に井関農機株式会社として設立、ヰセキ式籾すり機および自動選別機を開発製造して70年、農業機械の総合専業メーカーとしてわが国農業の近代化に貢献。一貫して農業の効率化、省力化を追求し続け、その過程の中で数々の農業機械を開発、市場に供給してきた。2004年には中国・江蘇省に井関農機(常州)有限公司を設立し海外生産も開始。現在は松山(愛媛県)、砥部(愛媛県)、益城(熊本県)、三条(新潟県)、常州(中国)に開発・および製造拠点を持ち、トラクタ、コンバイン、田植機などを生産及び販売している。売上はここ数年1,500億円から1,600億円台と横ばいで推移、成熟化した国内市場の需要喚起を進めるため新製品の開発に力を注ぐとともにコストダウンを強力に推し進めている。創業以来の「農業機械を通じて社会に貢献する」という使命を強く認識し、技術者1人ひとりが『技術精神』−「アイディアを売り込む」、「技術総力を発揮する」、「常に一歩を先んずる」、「商品理念に徹する」−に則した創造的な研究開発を行なう開発・製造体制の構築を進めている。

開発製造の拠点、砥部事業所
 研究開発の拠点が砥部事業所の開発製造本部。ここでは、21世紀の世界と日本の農業に役立つ農業機械の開発が進められている。技術部門では3次元CAD、Pro/Eをプラットホームにモデリングしたデジタルモックアップを使って開発、製造、営業、サービス、品証などを交えた農業機械の板金部材調達※1デザインレビュー(DR)を繰り返し、開発リードタイムの大幅短縮を目指している。

2001年から3次元化に取組む
レーザ加工機LC-2412β3NT 「工作室はどちらかと言えば設計者のイメージを形に変えるという仕事がミッションとなります。量産試作では、各製造工場が担当します。設計者のイメージを形にするプロセスでは製造性や適正な品質を作りこむ必要があります。量産試作では垂直立ち上げを行なうため、工作室で検証した様々なデータを活用します。ロット加工はプレス加工や樹脂成形加工が使われるためプレス金型やモールド金型を製作することになります。その過程でも工作室と工場が連携して試作データを活用するようにしていて、垂直立ち上げが可能となり、期間やコストを抑えることができます。工作室では ...

※1 デザインの再評価、批評すること

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