〜特集:「食品機械業界の板金部材調達」〜

食品機械の市場は4,600億円前後で成熟化
安全性やトレーサビリティへの対応が課題



組立中のトンネルオーブン  食品機械とは農産物、畜産物または水産物を加工処理し、これを多種多様な食品、飲料、調味料などに調理・生成するための工程で用いられる機械・器具及び装置のことを総称している。代表的な製品としては精米麦機械・製粉機械・製麺機械・肉類・水産加工機械・飲料加工機械・牛乳加工機・乳製品加工機械・製菓・製パン機械・醸造用機械などがある。市場規模はここ数年はボトム4,300億円、ピーク4,800億円とほぼ横ばいで推移しており成熟化している。需要先である食品産業は好不況に影響されにくい業種のため、食品機械製造業も不況に強いといわれている。しかし、多様化する消費者ニーズに伴って食品機械が複雑化し、それに対応してデジタル化による自動化・ロボット化への研究開発が進んでいる。特に消費者の強い嗜好である「手作り尊重志向」を満たすべく、職人の手作りと遜色のない食品を製造する技術開発に対する要求も高くなっている。とりわけ中国をはじめとした新興市場で製造された廉価な機械が輸入されるようになり、日本の食品機械メーカーは価格競争に巻き込まれないために高付加価値化を目指すようになっており、温度、湿度など加工条件の設定をそれまでの職人の勘と経験と同じ精度で、きめ細かくコントロールできる機械の開発が期待されるようになっている。一方で製菓・製パン機械、飲料機械、食肉機械、醸造機械、粉流体処理機械などでは省人、省熟化を進めるためデジタル化が進んできている。こうした機械は、国が進めるメカトロ税制(投資減税制度)の対象機種となり食品業界への普及が加速されている。
 食品機械は食品別に多種多様な機種があり、基本的に多品種少量生産の業態である。また食料品を加工するため、安全で衛生的な製品の生産が求められる。経済産業省の「平成16年工業統計表」によると、4人以上の従業員を有する食品機械メーカーの事業所数は817 ヵ所、従業員数は1万4964人で、全般に中小規模のメーカーが多い。
 以下に代表的な食品機械を紹介する。

製粉機械
 製粉機械は、明治の後半にロール型の製粉機が製作され、昭和初期の食糧増産、小麦増産計画の中で大型の製粉工場が出現し小麦精選用、製粉用機械を製造する機械会社も出現した。食糧事情緩和後は精白粉製造のための粉砕機械は食品工業のみならず化学工業、飼料工業、医薬品製造、陶磁器工業などの粉砕工程に使用されている。粉砕機械は ...

製品の流通経路を生産段階から、最終消費段階あるいは、廃棄段階まで追跡が可能な状態をいう。

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