〜INTERVIEW〜

プロダクト・プロセス複合型イノベーションが日本の成長を支える

東京農工大学大学院技術経営研究科長
同機械システム専攻 古川 勇二

 古川教授はMEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカルシステム)およびNEMS(ナノエレクトロ・メカニカルシステム)、技術移転、産業政策、標準化戦略、知的財産の各分野における技術開発やビジネスモデル開発の研究を行っている。最近では生物の持っている能力を活用する技術と、分子レベルの極少の装置を作る技術を複合させたバイオMEMS 技術の開発に力を入れている。同研究室で開発したバイオ燃料電池を使った直径0.8 o のモーターが血管内視鏡に応用され注目を集め、さらに技術経営(MOT)の世界標準の作成に日本代表として参画、国際的な技術者教育に活躍されている。異分野や広域間の産学官ネットワークを構築し、世界に通用する新事業を発展させる産業クラスターの形成を促進する目的で、三多摩地区の中小企業380 社が集まって結成された(社)首都圏産業活性化協会(TAMA)の会長も歴任、中小企業経営者と積極的に懇談、アドバイスしている。4 月10 日には今国会で審議されている産業活力再生特別措置法等改正法案、中小企業地域産業資源活用事業活動促進法案、企業立地促進等地域における産業集積形成・活性化法案に対する意見を衆議院経済委員会で述べたり、経団連会報にMOT についての論文を発表するなど、精力的に超過密スケジュールをこなしている。

日本は製造業が富の根源
  「GDP500 兆円の中、100 兆円を占める製造業が富の根源である事を理解している人は少ない。日本の製造業はプロダクトイノベーションとプロセスイノベーションを匠に組み合わせた、複合型イノベーションを不断に継続する事で世界を※ 1リードオフしてきました。それに対してアメリカは、※ 2 デタントを きっかけに国防に関連の深い工作機械産業の育成を怠ったことに象徴されるようにIT、BT(バイオテクノロジー)、NT(ナノテクノロジー)などの先端科学分野のイノベーションに力を入れる、『イノベートアメリカ』という政策を発表しています。EU は ...

※1先頭に立って指揮をとる
※2緊張緩和

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