〜視点〜

工業生産額2兆円
企業数1 .1.2万社/社員14万人

 昨年10月号から業種別特集を取り上げている。今年になって医療機器や建設機械を計画して進めているがそのたびに取材する購買担当者から聞かれるのが板金業界の正確な企業数や年間の工業生産額。編集子も何度かこのコーナーで業界の規模に関して取り上げているが、いまだに正確な企業数や年間工業生産額が掴めていない。同じサポートインダストリーとして金型業界の工業生産額と同程度ではないかと推測している。金型業界の工業統計がこのほど発表され2006年の金型の工業生産額は1兆9,230億円となった。ちなみに金型業界の企業数は10,483社、常用雇用従業員数は103,203名となっている。これまでのように金型業界に匹敵すると考えれば板金業界の工業生産額も2兆円ということになる。業種別に板金部材の調達割合を製造原価に占める割合で見てくると割合が高いのが工作機械、建築金物、半導体FPD製造装置、自動販売機・自動サービス機、配電盤業界などで5%以上の割合となっている。工作機械、半導体FPD製造装置を業種別に数字を積み上げ、製造原価の占める割合で原価を算出、これに板金の調達割合を掛けることでおおよその金額を計算することができるが主要な業界を取り上げるだけで1兆円を超える事は間違いないことがわかる。そしてよく見えないのが建築金物。最近は外板パネルにアルミやステンレスなども採用されるようになり、建築金物が建設工事額に占める割合も高くなっている。業界の話では内外装パネル、ドアー、サッシュ等の建具、パーテーションなどの建築金物の調達金額が工事金額の10%を超える物件もあるという。そのほかにも建物には空調ダクト、インテリア、エクステリア、エレベーター、エスカレーターなどの昇降機、受変電設備など直接、間接を加えると板金部材がかなり使われている。特に内外装パネルに関しての施工工事費用を加えるとかなりの高い割合を占める事になる。国土交通省がまとめる建設工事受注金額統計で見ると17年度の建設工事受注金額が民間工事は9兆4,850億円、公共工事が3兆657億円で合計すると12兆5,507億円となり、板金部材を考えるとそれだけで1兆円近い数字が吐き出されてくる。また、建設機械のように12o程度の中・厚板も板金部材にカウントすれば調達金額が大きくなる。例えばクレーンを取り上げるとブーム、ジム、走行部、エンジン回りを除くと板金で加工されている。すでに2兆円を突破している建機市場だけに、ここでの板金部材の調達金額も大きくなっている。こうしてみてくると材質、板厚にもよるが板金がリカバーする市場規模は金型業界同様に2兆円を越えるのは確実だ。しかも最近は板金部材に止まらず板モノに付帯した機械加工部品、樹脂、木工製品を自社調達して板金製品モジュールとして発注元に納品する板金加工業者も増えており、年商が10億円を越える板金加工業者の数も国内で500社以上になっている。それだけに板金業界の工業生産額が2兆円を越えようとしているのは間違いない。また、企業数に関しても諸説入り乱れているが、金型業界が従業員数4名以上の企業で10,483社であるとするならば板金業界でもこの数字に限りなく近く10,000〜12,000社と考えるのが妥当ではないか。10年以上前に編集子がそれまでに取材した取材企業の会社概要をまとめた数字では平均従業員数が14名で年商が2億円というデータがある。10,000社とするとそれだけで売上数字は2兆円になる。また、常用雇用従業員数も140,000人ということで、金型の常用雇用従業員数103,203人に比べ若干多めだが、製品の付加価値と組立など労働集約的要素を加味すれば数字としていいところにきているように思われる。