〜特集:「医用検体検査装置に使われる板金」〜

病気の早期発見、早期治療に
欠かせない医用検体検査装置



年間売上規模は1,100億円
生化学自動分析装置(ベックマンジャパン)  医師が正確な診断を行うためには病気の特定、ケガの程度、治療方針を検討するために様々な医用検査装置を使って診断のサポートを行うようになっている。最近は、こうした検査装置の機能が高度化し検査精度も高まってきた事から、各種の検査装置を使って被験者の健康状態を定期的に検査、チェックすることで病気を予防する、予防医学が盛んになっている。病気に罹ってから病院に行くのではなく、定期健康診断や成人病検診などの検査などにみられるように、疾病の早期発見・早期治療への意識が強くなっている。こうした医学の進歩は目覚ましく、多くの病気に対して適切な診断・治療が行われ、今や日本人の平均寿命は、欧米諸国に肩を並べ、さらにそれを追い越して世界一の長寿国になっている。
 こうした健診や病院で行われる各種の検査には、X線断層撮影装置(CT)、磁気共鳴イメージング装置(MRI)や超音波診断装置などの画像による診断装置だけでなく、数多くの検体検査分析機器が使用されている。そこで、日本分析機器工業会(http://www.jaima.or.jp/)のまとめた資料に基づき血液や尿の検査を中心にした医用検体検査において幅広く使用されている分析機器について紹介する。なお、分析機器工業会の統計によれば平成17年度の医用検査機器システムの生産金額は1,103億1,129万円となっている。

1. 生化学自動分析装置
免疫血清学的検査装置  血液は体内を循環しているが、体内の臓器で異常が生じると、血液中の糖や蛋白質、脂質、酵素などの濃度が変化する。たとえば、アルコール性肝炎ではγ-GTPと呼ばれる酵素の活性値が著しく増加し、糖尿病では血糖値が増加する。こうした血液中(測定対象として血清を用いる)の成分を、酵素反応や化学的発色反応を利用して分析する装置を生化学自動分析装置と呼んでいる。この装置を最初に考案したのはアメリカのスケッグス(Skeggs)らであり、1957年に1号機が出荷され、その後、進歩・改良が行われ、現在では※ディスクリート方式の装置が幅広く普及している。
 最近では、生化学自動分析装置の前処理操作と後処理操作を全て自動化したトータルシステム化が進められている。もともとアメリカで生まれた生化学自動分析装置だが、1980年代以降は日本で生産された装置が ...

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