〜INTERVIEW〜

理工出身の人材枯渇が心配

東京農工大学生物システム応用科学府、
工学部機械システム工学科 教授 堤 正臣氏


 工作機械、制御工学、システム設計などを研究する堤研究室には学部、修士、博士課程に在学する14名の学生がいる。工学部人気が低落する中でマザーマシンである工作機械の研究を行うことで日本の製造業を支える人材育成に力を注いでいる。そこで、堤教授に工学教育を通じて製造業を活性化させる人材教育に関する課題を聞いた。

 「好景気を背景として就職戦線は学生の売り手市場となっていて、20年前のバブル景気を彷彿とさせる状況です。バブル当時から銀行、証券をはじめサービス産業が理工学部卒業生を大量採用するようになり製造業に入る理工学部卒業生が減少しています。最近は銀行、証券はそれほどではありませんが、情報通信・サービス産業が大量に理工系人材を集めているため、製造業へ入っていく学生は相変わらず減っています。しかも少子化で理工学部へ入学する学生の数が減少しています。以前は当大学でも工学部の入試倍率は4倍を超えていましたが最近は2倍強まで低下、工学部人気が落ち込んでいます。入学希望者が減り、限られた卒業生が製造業以外の産業に就職することで製造業に必要な人材は益々枯渇しています。海外移転が加速する中でコア・コンピタンスである生産技術力を維持するため国内工場をマザープラントに位置づけ強化する傾向が強まっていますが、若い人材が入って来なければそれも掛け声に終わってしまいます。その一方で ...

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