〜INTERVIEW〜

板金業界の確立を目指せ

神奈川工科大学システムデザイン工学科
自動車システム開発工学科 教授 遠藤順一氏


 日本塑性加工学会フェローで神奈川工科大学教授である遠藤順一先生は日本の金属加工業界がこれからの厳しい国際競争に勝ち残るためには、どこででもできる技術ではなく、うちでしかできない技術を育てなければならない、その萌芽が塑性加工技術の深化だと語る。特にここ数年、自動車業界を中心に導入が進んでいるサーボプレスはプレスストロークを1 μm単位で制御することで塑性加工では実現が困難とされていた加工精度1 μmを達成し、機械加工でなければ不可能とされていた精密加工を実現できるようになった。それによって市場を拡大させるとともにサーボ駆動技術を武器に新しい生産技術を開発していかなければならない、と以下のように語っている。

町工場の技術力、まざまざ
 「精密機械の研究をされている先生が私の研究室を訪ねてこられました。そして「先日、横浜にある金属プレス加工業者の工場を訪問しハードディスクドライブに使われる直径4 〜 5 o 、ステンレス薄板で作られる流体動圧軸受がプレス加工で作られているのを見せていただきました。ステンレス表面に10 μm以下の溝で、溝深さ精度± 1 μmを入れるのですが、その溝入れまでプレスで加工されていた。これまで精密機械加工でしか加工できないと考えていた軸受けがプレスで加工できるということに驚きました」と話されました。この加工業者は私もよく知っている企業ですが、この技術開発を実現したのがサーボプレスです。これまでのプレス加工では駆動機構が課題で下死点精度10 μmというのが限界で、そのため、加工精度は± 1/100 〜 5/100 というのが一般的でした。ところがACサーボ駆動技術を採用したサーボプレスが開発されプレスストロークが1 μmピッチで制御できるようになり下死点精度1 μmが達成できるようになりまして、 ...

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