〜Industrial Trend 〜

鉄道車両市場に構造変化が起きている



 1872 年に新橋、横浜間に日本最初の鉄道が開通した。当初、建設材料、機関車、客車、貨車の主要部分がイギリスからの輸入であった。日本で鉄道車両の製造が開始されたのは1875 年、官営神戸工場だと言われている。
 明治、大正、昭和の初期にかけて鉄道車両工業は重点産業と位置付けされ、政府主導のもと育成されてきた。さらに、第二次世界大戦後の経済混乱期においても、輸送力回復が政府の最重要施策の一つであり、官民が協力して車両工業の復興を目指した。高度経済成長期に鉄道車両工業は生産を拡大してきたが、モータリゼーションの進展により、鉄道輸送需要は増加から減少へ転じた。鉄道輸送需要の減少が国鉄の財政悪化を加速し、その結果、鉄道車両の生産は低迷期に入った。毎年2 兆円の赤字を出していた国鉄が1987 年に分割民営化され発足したJR7 社は経営改善に努めるとともに、旅客サービスにも配慮するようになった。その結果JR 発足後の2、3年の間JR 各社は大量の鉄道車両の発注を行った。この時のJR 各社の発注車両の多くは国鉄時代のリピート車であった。また、各都市で地下鉄建設が進むとともに地下鉄と民営鉄道との相互直通運転が拡大すること等により、車両発注が増加した。この結果、鉄道車両の生産両数は一時的に活況を呈した。しかし代替更新等の需要が満たされると全体として低減傾向になっていった。そしてJR 各社はしだいに ...

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