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最新鋭の加工設備を少数精鋭がフル活用 ― 進化と挑戦を重ねて73年

好調な金融出納システム等が半導体関連の落ち込みをカバー

楠精器 株式会社

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画像:最新鋭の加工設備を少数精鋭がフル活用 ― 進化と挑戦を重ねて73年2023年3月に先行導入したファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJ。2024年2月には長時間の自動運転を可能にするため、マニプレーターと自動倉庫を導入し連結した

創業以来、積極的な設備投資で成長

画像:最新鋭の加工設備を少数精鋭がフル活用 ― 進化と挑戦を重ねて73年左から小林一裕社長、小林春生会長、小林晃常務取締役工場長

楠精器㈱のルーツは、1951年に神鋼電機㈱(現・シンフォニアテクノロジー㈱)の協力工場として創業した楠工作所。1967年に「鳥羽共同工場」に移転し、1974年にユニパンチプレスなどを導入して、精密板金加工業を本格的に開始した。

1978年にNCタレットパンチプレス1号機としてVELAⅡ-355を導入。1986年、小林春生現会長が初代創業者から事業を継承し、社長に就任した。1989年に楠精器㈱を設立して以降も積極的な設備投資を続け、成長を続けている。

1990年には、2年前に発表されたパンチ・レーザ複合マシンAPELIOⅡ-357を導入。工程統合により横持ち作業を減らし、自動倉庫MARSと連携して長時間連続運転に対応することで生産性改善を行った。

2003年に第2工場、2007年に第3工場を取得。第2工場にブランク加工設備を集約した。2004年には自動金型交換装置(PDC)付きパンチングマシンEMZ-3510NTPをサイクルローダー仕様で導入し、ブランク工程の生産能力を増強した。2006年には3次元測定機や2次元レーザ測定装置LaserQC1200を導入し、品質管理体制を強化した。

  • 画像:最新鋭の加工設備を少数精鋭がフル活用 ― 進化と挑戦を重ねて73年ベンディングロボットシステムEG-6013ARの導入で突き当てが難しく、手作業では危険がともなう小物製品の曲げ加工を完全自動化した
  • 画像:最新鋭の加工設備を少数精鋭がフル活用 ― 進化と挑戦を重ねて73年サーボベンディングマシンEGB-4010e。「Y3軸バックゲージ」や「突き当てモニター」、「ガイダンス機能」などのサポート機能があり、曲げ加工の経験の浅い作業者でも使いやすい

ブランク・曲げ・溶接の全工程で自動化を推進

2008年に小林春生氏が会長に就任し、小林会長の長男である小林一裕氏が3代目社長に就任した。同年、APELIOⅡの後継機としてパンチ・レーザ複合マシンEML-3510NTを導入し、MARSと連動。2015年にはファイバーレーザ複合マシンLC-2512C1AJをサイクルローダー仕様で導入した。これによってパンチング金型は550種類を保有するとともに、ワンクランプで抜き・成形・タップ・切断加工ができるようになり、高精度化と工程集約をはかり、人手作業の大幅削減を実現した。

また、豊富な測定機器を保有することで、得意先のさまざまな要求に応じた品質保証体制を確立していった。

2013年には曲げ工程の加工能力増強とスキルレス化への対応から、ベンディングロボットシステムASTROⅡ-100NTを導入。2016年にハンディファイバーレーザ溶接機FLW-600MTを導入した。

2017年には「ものづくり補助金」を活用し、小物製品に対応する高速・高精度サーボベンディングロボットシステムEG-6013ARを導入した。これにより、突き当てが難しく、手作業では危険がともなう小物製品の曲げ加工を完全自動化。しかも作業者と同程度のスピードで曲げ加工ができ、曲げ工程の加工能力を改善した。

2022年には補助金も活用して、ファイバーレーザ溶接システムFLW-3000ENSISを、3D定盤を載せた2台のシャトルポジショナー、4m走行台車を組み合わせた特別仕様で導入した。

2023年には、半導体関連の新たな事業分野に参入することを目的に事業計画を作成し、事業再構築補助金に採択された。これにより第4工場を取得するとともに、2023年3月にはファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJを先行導入。2024年2月には長時間の自動運転を可能にするため、マニプレーターと自動倉庫(RMP-2512NTK+MARS-2512N)を導入してACIES-2512T-AJと連結した。

併せて小物製品の高精度な曲げ加工に対応するため、サーボベンディングマシンEGB-4010eも導入し、第4工場に設置した。

  • 画像:最新鋭の加工設備を少数精鋭がフル活用 ― 進化と挑戦を重ねて73年ファイバーレーザ溶接システムFLW-3000ENSIS
  • 画像:最新鋭の加工設備を少数精鋭がフル活用 ― 進化と挑戦を重ねて73年FLW-ENSISで溶接したフレームカバー

会社情報

会社名
楠精器 株式会社
代表取締役
小林 一裕
所在地
三重県鳥羽市船津町榎谷1371-15
電話
0599-25-3591
設立
1989年(1951年創業)
従業員数
36名
主要製品
情報・通信機器、業務用プリンター部品、半導体向けクリーン搬送機器部品、空調機器部品、貨幣処理機部品、アミューズメント機器部品、テレスコピックカバー部品
URL
http://www.kusunoki-seiki.co.jp/

つづきは本誌2024年10月号でご購読下さい。

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